2010 Fiscal Year Annual Research Report
学習材としてのわらべうた・民謡の位置づけに関する基礎的研究
Project/Area Number |
22530981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
権藤 敦子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70289247)
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Keywords | わらべうた / 民謡 / 学習材 |
Research Abstract |
明治期以降140年間に積み上げられてきた、楽曲を教えることを中心とした音楽教育のあり方に対して、子ども一人ひとりと向き合うことを重視した学習観への転換、わらべうたや民謡の本質を捉えた学習材の開発、音楽科教育のカリキュラム構築にむけた基礎的な方向性を見いだすため、本年度はこれまで行ってきた歴史的な考察の継続を中心として研究を行った。とりわけ、近世歌謡の国文学研究者であり、文部省唱歌とも深い関わりをもった高野辰之、明治・大正期にすでに民謡ほか日本音楽の科学的研究を行った兼常清佐、学校教育にも大きな関わりをもち、新民謡や日本的流行歌を作曲した中山晋平について、民謡やわらべうたと学校教育の関係に関わる言説と個人の資料を調査することで、歴史的事実の確認を行うことができた。具体的には、長野県にある高野辰之記念館とおぼろ月夜の館斑山文庫、中山晋平記念館、東京芸術大学附属図書館等での調査を通して、日記や邦楽調査掛日誌等の詳細な資料の内容を確認することができ、東京音楽学校や東京帝国大学国語研究室と高野の関わり等、業績の背景について明らかにできた。また、歴史的な考察と並行して、広島わらべうたセンターの高城敏子氏の活動に参加し、わらべうたと子どもの関わり、学校外でのわらべうたの扱いについて引き続き考察を続け、そこでのCD制作の過程にも関わった。加えて、民謡やわらべうたに大きく関わる「日本語で歌う」ということについて、兼常の著作集の検討やジャーナル誌編集等、日本音楽教育学会における活動を通して、実践的な課題への手がかりをつかむことができた。
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