2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530992
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
生田 茂 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (60112471)
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Keywords | ドットコード / 音声 / 動画 / 教育実践 / 特別支援教育 / マルチメディア |
Research Abstract |
これまで、音声や音を紙の上にドットコードの形で印刷し、サウンドリーダーと呼ばれる小さなツールでなぞって再生する技術を活用して教材を作成し、教育実践を行ってきた。発語を持たない児童生徒の語彙の獲得、クラスメイトとのコミュニケーションの実現などを通して、自立感、達成感の獲得を実現するなど、様々な成果を上げることができた。その一方で、上肢に不自由な児童生徒、重い知的障害を持つ児童生徒、通常学校の低学年の児童生徒は、紙に印字された長いドットコードを巧くなぞることができず、みんなと同じ活動に参加できない場面に直面した。 そこで、著者らは、紙の上に印字されたドットコードに触るだけで音声が再生できる「音声ペン」を用いて教育実践を始めている。現在、ベンチャー企業2社と共同で、ソフトウエアの開発や教材の開発を行っている。この中のGridmarkの開発したGrid Onputと呼ばれるシステムは、高度なプログラミングを行うことで、印字されたドットコードに複数の音声をリンクできるだけでなく、動画やWEBページ、htmlファイル、PowerPointファイルなどもリンクできる特徴を持つ。この新しいシステムを用いて、平和教育の副読本として広く使われている「ランドセルをしょったじぞうさん」の二カ国語対応の読み聞かせの教材を制作し、八王子市、日野市、筑波大学附属桐が丘特別支援学校など10数校で教育実践を行っている。また、課外学習の事前学習のための教材「多摩動物公園で遊ぼう」を制作し、教育実践を行っている。 この「多摩動物公園で遊ぼう」という教材は、200個近くの音声、23個の動画からなり、一つのドットコードに3つの音声、そして、音声と動画が同時にリンクされているものである。 サウンドリーダーを用いた教育実践から、新しい音声ペンを用いた実践へと発展し、研究協力員校(実践校)も弘前大学教育学部附属特別支援学校、滋賀大学教育学部附属特別支援学校、杉並区立済美養護学校など、一回り大きくなり、研究会を定期的に開催するまでになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで、音声や音を紙の上にドットコードの形で印字し、サウンドリーダーと呼ばれる小さな機器でなぞって再生するシステムを用いてきたが、現在は、新しく開発された「ドットコードに触るだけで音声やマルチメディア」を再生できるシステムを用いた教育実践へと発展しつつある。これまでの「なぞる」システムでは、上肢に不自由な児童生徒や視覚に障害をもつ児童生徒への取組みは不可能であったが、新しいシステムを用いることで、こうした困り感を持つ児童生徒の取組みも可能になるものと期待している。これまでの取組みをまとめた"School Activities Using Handmade Teaching Materials With Dot-codes"が、IGIから発刊される"Technologies for Inclusive Education:Beyond Traditional Integration Approaches"の一つの章として採択される成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
音声や音だけでなく、動画やWEBページ、htmlフィル、PowerPointファイルなどを扱うことができる新しいドットコードを用いることで、これまでは取組むことができなかった「上肢に不自由な児童生徒、重い知的障害を持つ児童生徒、通常学校の低学年の児童生徒」だけでなく、視覚や聴覚に障害をもつ児童生徒も利用できる教材の制作、そして、教育実践を行えるものと期待している。 従来の研究協力員に加えて、今回新たに加わった特別支援学校の教員の協力を得ながら、新しい可能性に挑戦したい。
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Research Products
(10 results)