2011 Fiscal Year Annual Research Report
優れた体育授業を創造する教師の実践的力量形成に関する実証的研究
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22530996
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
山口 孝治 佛教大学, 教育学部, 准教授 (50460704)
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Keywords | 体育授業 / 授業研究 / 実践的力量 / 教授戦略 |
Research Abstract |
今年度の研究成果については大きく次の2点が考えられる。 1点目は,教師の教授戦略と「出来事の予兆」への気づきとの関係性を明らかにしたことである。具体的には,「見込みのある教師」に「運動の構造的知識」と「児童のつまずきの類型とその手立てに関する知識」を提示・解説を行い,彼らの教授戦略と授業中の「出来事の予兆」への気づきの関係性について検討した結果,授業中の「出来事の予兆」への気づきの中でも,「合理的推論-目的志向的対処」と「文脈的推論-目的志向的対処」が量的にも質的にも深まることが認められた。これには,モニタリング戦略とコミットメント戦略の意図的・計画的に発揮するとともに,時系列的な組み合わせによってこれら2つの教授戦略を発揮させたことによるものと考えられた。故に,上記2つの知識の理解はモニタリング戦略とコミットメント戦略を時系列に組み合わせることにより,技術的なつまずきに関する「出来事への予兆」への気づきを深めさせられるとする見解を導出することができた。 2点目は,体育科における「教授戦略観察法(ORRTSPE観察法)」の開発である。ここでは,「体育授業における教授戦略に関する分析カテゴリー」をベースに新たなカテゴリーを試作し,小学校2名の教師による授業実践の分析を通してカテゴリーの修正をくり返した。このような手続きを通してカテゴリーの精度を高めた結果,「教授戦略観察法(ORRTSPE観察法)」を開発することができた。この観察法は,これまでの「教師行動観察法」による欠点を克服し,「教師の実践的思考様式」を推定する方法としての可能性が高いことが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果は,当初の計画以上に伸展したものであり,大いに評価できるものと考える。一方で当初計画していた内容については,次年度に繰り越すことになってしまった。したがって,これらのことを総合して考え「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,当初の計画通り「体育授業における教授戦略と学習戦略の関連性に関する授業研究」を進める。併せて,今年度の成果を受けて「体育授業における学習成果を高める教授戦略のあり方に関する授業研究」も行っていきたい。何れかがデータの収集段階で修了することが予想されるが,その場合は継続して行っていきたいと考える。既に被験教師の選定は終えており,近日中に授業計画の確認・調整を行う予定である。
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