2011 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的な歌唱法を生かした、小・中学校音楽科授業のためのアイヌ歌謡の教材化
Project/Area Number |
22531003
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石田 久大 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30193329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 道雄 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10344540)
杉江 光 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40271720)
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Keywords | アイヌ歌謡 / 地域文化 / 教材化 |
Research Abstract |
北海道先住民族であるアイヌの人々には、数多くの座り歌や踊り歌が伝えられている。(以下座り歌・踊り歌のことをアイヌ歌謡と呼ぶ。ユーカラはここには該当しない)しかし、それらの歌謡本来の美的な価値が、一般の人々の間において十分に知られているとは言い難い。 本研究の目的は、旭川地域に伝わるアイヌ音楽の文化的な価値を、地元の小・中学生に理解してもらうために、アイヌ歌謡を、伝統的な歌唱法を踏まえながら、音楽科表現活動の教材として開発してゆくことにある。 平成22年度には、旭川近文に伝わるアイヌ歌謡を、道立図書館において古い録音から注意深く聴き、その特徴について探った。また、近文の古老より直接歌を聴き取り、それにまつわる情報を収集した。 平成23年度前半は、引き続き道立図書館での録音聞き取り調査を行なった。また、旭川のアイヌ歌謡の高名な歌い手であった杉村キナラブックの娘である杉村フサ氏よりアイヌ歌謡を実際に習い分析した。 これらの調査で古いアイヌ歌謡の音質の特徴として明らかになってきたことは、古いアイヌ歌謡は、声門閉鎖音が多く使われていることが特徴であることが明らかになってきた。これは、アイヌ語の表記のうえでの閉母音と大きく関係していると考えられる。 22年度、23年度に調査した曲のうち、音楽的にあるいは歌詞の内容から学校教育の中で扱うために適切な教材としての考えられる数曲を選び、大学での模擬授業と附属中学校での授業を行った。11月には全日音研で札幌大会(全国大会)アイヌ歌謡の教材化をテーマに発表した。3月にはアイヌ文化振興・研究推進機構の研究員である甲地氏を招聘し、北海道のアイヌ歌謡についての講義を行ってもらい、情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度23年度でアイヌ歌謡を教材化するための資料は情報が豊富に集められた。 (旭川近文の歌謡の特徴を明確化し教材とするために、北海道アイヌ文化振興機構の研究員である甲地氏の助言を得られるたこと、また、阿寒のアイヌ歌謡を研究している千葉氏からの情報を得られたことは、有益であった)
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、旭川近文のアイヌ歌謡を教材化するための、実質的な研究と作業に取り組む。特に旭川市内の中学校において、音楽担当教員の協力を得ながら実際に授業を行い、最終的な成果とてしてのテキストならびにDVDを作成してゆく。
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Research Products
(2 results)