Research Abstract |
児童・生徒の問題解決能力の育成やそのための問題解決学習の実旛は,学校教育における喫緊の課題である。しかし,各教科の教師の持つ,問題解決学習観は異なり,お互いの理解も乏しい。そこで本研究の第一の目的は,各教科の教師の持つ問題解決学習観とその異同を明らかにすることである。第二の目的は,第一の成果から,教科横断型問題解決学習モデルを構築することである。本研究の特徴の一つは,文献だけでなく,教育現場の教師からモデルを構築である。また,概念モデルのみでなく,教科内容を念頭に置いた,プロセスや発問を示すことで,教師の指針となりえるモデルを構築する。 教師の問題解決学習観の底辺には,先人の示した問題解決論・問題解決学習論がある。この論に,各教科の特性や歴史的経験などが加味されることで,現在の問題解決学習観ができあがっていると考える。ただし,上記に示したように問題解決学習観の連携は少ない。そこで,その異同を明らかにした上で,教科横断型問題解決学習モデルを構築することを本研究の目的とする。また,本研究の特徴として,文献だけでなく,教育現場からモデルを構築することにある。研究は(1)問題解決論の整理,(2)各教科の問題解決学習観の把握,(3)教科横断型モデルの構築の3つのステージで構成する。 (1)問題解決論の整理:デューイ,パース,川喜多二郎などの問題解決および問題解決学習論を教科との関連の視点から分析した。 (2)各教科の問題解決観:生活科,総合的な学習ではPAC分析から,教師の問題解決観を明らかにした。数学では,教師の教材観との関連から問題解決観を検討した。理科は,問題解決における統計リテラシーの必要性を明らかにした。 (3)モデルの構築:平成24年度に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,各教科の問題解決観の異同を明らかにし,そこから教科横断型問題解決学習モデルを構築することである。研究は,(1)問題解決論の整理,(2)各教科の問題解決学習観の把握,(3)教科横断型問題解決学習モデルの構築の3つのステージからなる。本年度は,(2)と(3)のステージを中心に行う。 (2)各教科の問題解決観の把握 ・生活科・総合的な学習の時間を専門とする教師へのPAC分析から得られたデータを考察する。PAC分析は,少数の標本に対しインタビューによる質的分析と質問紙による量的分析を共におこなう手法である。この分析から,教師の問題解決観の変容について,教職歴,研修歴,テーマの履歴等との関連も含めながら分析を進める。これらの作業を通して,分析手法の見直しを行い,実施することで新たなデータを取得する。 ・KJ法を応用したワークショップ形式のインタビュー調査を実施した。分析の手法を検討し,考察を進める。 ・授業場面の観察から理科授業における数学的思考とそれを使った問題解決の必要性が導き出された。本年度は,統計的推論の観点から理科の問題解決を分析する。 (3)横断型モデルの構築 (2)ステージでの分析をもとに,教科間の関連を総合的に考察する。また,教師の職能成長の観点からの考察も試みる。成果は,複数回の学会発表および論文の投稿により発表する。
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