2010 Fiscal Year Annual Research Report
四日市市・内部川沿いの農業地域における言語表現の豊かさの解明と教材開発
Project/Area Number |
22531020
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
余 健 三重大学, 教育学部, 准教授 (90345968)
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Keywords | 方言の世代差・地域差 / ビデオ収録調査 / アンケート調査 / 新方言形 / 授業実践 / 方言調査の結果報告会 |
Research Abstract |
2010年8月25日、27日の両日に四日市市小山田地区において、60代以上の高年層を対象にした方言調査(ビデオ撮影調査)を実施した。昨年の小山田と隣接した水沢地区と共通する語形(クチナワ・ウグロ等)と非共通語形(お手玉における水沢のヒトツイに対する小山田のオツ等)が確認され、その背景には、言語使用の普遍的な方向性(長い語形から短い語形へ)や行政区画の違い、婚姻関係の有無、買物圏の違い等の要因が想定された。また、水沢・小山田の両小学校における5,6年生とその両親(3、40代)の遊び言葉(組分けジャンケン・選び歌等)の言い方と遊びの模様をビデオで収録した。さらには、水沢・小山田両地区の80代から30代の人に遊びの言葉に焦点を当て、アンケート調査を実施した。小山田地区のアンケートは、現在集計中であるが、これ以外の水沢地区のアンケート調査と水沢・小山田両地区のビデオ収録調査から明らかになったり実施したりした主な点は、以下の4点である。(1)水沢地区における選び歌の伝統的な言い方は、「ジージーバーバードッチニショ~」である。その背後には「3世代同居が当然で祖父母や両親という年長者の権威がより強かったかつての社会的状況」も読み取れる。(2)組分けジャンケン特有な言い方である「グーパー」類は、水沢においては、60代から派生したようである。水沢の20代以下で多く使用されている「グッパー・インジャン・シ」は、水沢地区内において30代から80代の各世代で伝承されている「グッパー」、「シ」、「インジャン」の各形式を融合させることで生まれた新方言形である。(3)上記の世代差や地域差に着目したビデオ教材を使用して水沢小学校5年生と小山田小学校6年生を対象に授業を実践した。授業者の学生、教育現場の先生方、大学の研究者の3者の共同作業により有意義な内容となった。(4)水沢・小山田の両地区で高年層を対象に方言調査の結果報告会を開催した。
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