2011 Fiscal Year Annual Research Report
価値に基づいて判断し行動する力を育成する道徳教育プログラムの開発
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22531024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 由美子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40206545)
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Keywords | 教育学 / 道徳教育 / 価値教育 / 教育プログラム / 価値についてのイメージ |
Research Abstract |
H23年度は道徳教育プログラムの実施に向けてふたつの研究を行った。ひとつは、学年ごとの特徴を明らかにするための価値観の発達的変容に関するアンケート調査である。もうひとつは、道徳教育プログラムのための教材開発である。 1)H22年度に行った予備調査に基づいて、本調査のための質問用紙を策定した。オーストラリアで行われた価値についてのイメージに関する調査を参考にして質問項目を作成し、日本人の小学生、中学生、大人(親)を対象とした調査が行えるように修正した。作成した調査用紙により本調査を行った。対象は小学校5校(小3-小6)、中学校5校(中1-中2)、大人(小学校1校の保護者)とし、学年ごと、学校ごと、子どもと大人との比較が行えるようにした。地域の特徴についても検討するために都市部、山間部、海浜部に分けて行った。現在データの回収が終わり、分析中である。現在のところ、全学年に共通する価値観は「生命尊重」であることが明らかになっている。大人はまだ分析中である。 2)アンケート調査の結果から、「生命尊重」を価値とした「電池がきれるまで」(小3用教材)をプログラム用に教材開発し、予備的試行を行った。対象は、小学校2年生から中学校2年生までの7学年であった。プログラムの中心である道徳授業において、「命を大切にするとはどういうことか」という設問を共通に行い、ワークシート調査を行い、学年による効果の違いを検証した。ワークシートは回収し、現在分析中である。現在のところ、「自己の安全」→「一生懸命」(努力)」→「思いやり、使命、感謝など」といった方向性が示されている。当初は、「生命尊重」から多様な価値へと分化すると予想して、学年を4ブロックに分けるように構想していたが、「生命尊重」が全体を貫く幹のような価値であることが示されたので、教材をひとつにして、多様な視点を育成するように研究を変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予牢であった価値観の発達的変容に関するアンケート調査と、道徳教育プログラム用の教材開発を行い、予備的試行ができたので、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、本年度のアンケート調査結果をさらに分析し、年齢に関係なく共通する価値を明確にするとともに、そこから分岐する細目について検討する。また、「生命尊重」をコアとした道徳教育プログラムを策定し、モデル校として小学校と中学校に依頼し、実施する。プログラムの前後で調査を行って効果を明らかにする予定である。これらの結果は、国際学会等で公表する予定である。
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Research Products
(2 results)