2011 Fiscal Year Annual Research Report
外部専門家の活用による特別支援学校教員の専門性の向上
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22531054
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
柳本 雄次 十文字学園女子大学, 21世紀教育創生部, 教授 (30114143)
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Keywords | 外部専門家 / 自立活動 / 特別支援学校 / 肢体不自由教育 / 連携・活用 / 専門性 / 授業改善 / コーディネーター |
Research Abstract |
外部専門家の活用による特別支援学校教員の自立活動指導における専門性向上を図るため、学校側の具備すべき条件と専門家側の条件を明確にすること、実践過程を分析することにより外部専門家との連携・活用のあり方を究明することを目的にした。 1.外部専門家の活用について特別支援学校側の受け入れ体制等の状況を把握するため、(1)北海道・東北・関東・中部・九州地区の特別支援学校関係者への半構造化面接調査を実施した。このうち、北海道地区では、自立活動教諭を採用し、校内外の連携を促進するコーディネーター機能を果たすなど自立活動指導の充実が図られていた。また、札幌市立特別支援学校では従前から札幌市職員のPT、OTが技術職員として「外部」的に配置されつつ、「内部」的専門家として指導に携わっていた。関東地区では、教育委員会事業として外部専門家の活用が促進され、専門家の個別的.医療的診断評価を超えて集団的・教育的診断評価への進展がみられた。(2)協力校における実践研究では、青森県と東京都の特別支援学校において、児童生徒の障害特性に応じた効果的な指導を追求し、専門家と連携して指導内容・方法の検討及び修正授業の評価などの実施経過と効果・問題点を協議した。(3)学校側の条件と専門家活用の効果との関連性を明らかにするため、PTの活用について学校教員を対象としてアンケート調査を実施した。PTの活用効果を教師の意識、教師の属性、校内体制の3点から分析した結果、教師の意識である「活用の有用性」と「教師の明確な役割意識」がPTを活用した教師の実践に影響を及ぼしていた。また、校内体制では、活用形式や活用頻度、PTへの情報の伝達有無がPTを活用した教師の実践に影響を及ぼしていた。 2.外部専門家を対象とした調査について、(1)半構造化面接を昨年度に引き続き6名に実施したが、学校側の受け入れ体制が教員の連携・活用意識に影響を与え、専門家の成就満足度に反映される傾向を推察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の1.学校側の受け入れ体制の調査について、(3)では専門家の活用としてPTの1職種のみを取り上げたが、他の職種には広げられなかった。また、2.外部専門家対象の調査について(1)半構造化面接は実施できたが、(2)の質問紙調査のための質問項目の決定にまで至らなかった。しかし、それ以外はほぼ計画通り順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本研究の最終年度でもあり、9月末に特殊教育学会で自主シンポジウムを開催して研究成果を発表し、年度末には研究成果報告書を作成するなど、研究協力者と検討協議を重ねる機会を積極的に設けることにする。 ただし、特別支援学校教員対象の全国的調査の実施には、実施・協力者とも負担感が大きいことから、対象範囲を制限した質問紙調査、あるいは半構造化面接に変更することも検討したい。また、本研究では肢体不自由特別支援学校に限定したが、外部専門家との連携・活用は知的障害等の併置校にも拡大する必要性が認識されるので、そのことも検討することにする。
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