2010 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害の「特性モデル」を考慮した通常学級の授業づくり方法とその効果に関する検討
Project/Area Number |
22531064
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
宇野 宏幸 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (20211774)
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Keywords | 教育学 / 特別支援教育 / 発達障害 / 授業方法 |
Research Abstract |
発達障害に関する「特性モデル」に沿った授業案を作成し、このような授業づくり方法が対象児およびクラス全体の子どもへ、学習面(理解度、動機づけ)および社会性の面で効果を及ぼすかどうか検討した。本年度は、自閉症スペクトラムに関しての「心の理論」を考慮して、物語文(「モチモチの木」「ごんぎつね」など)における心情理解を促進するため、授業案にロールプレイ、視覚的な文脈理解の工夫(マインドマッピング)などを盛り込んだ。対象児は、NU式行動チェックリストで見ると、コミュニケーションや文脈理解に課題が大きく、自閉症スペクトラム児に見られる一般的傾向と一致していた。読解力を見るためのワークシートの得点を授業前後で比較すると、クラス平均は14点前後でほとんど変化がなかった。一方、対象児の得点は3点から11点へ大きく伸びていた。また、自己効力感の得点を前後で比較すると、クラス平均はほとんど変化が見られなかった一方で、対象児については10点近い向上が見られた。これらの結果は、対象児の特性に考慮した個別のワークシート、授業中の動作化への積極的な参加、視覚的な支援の効果として、対象児本人において物語文の理解が促進されたことが大きいと考えられた。また、授業中の成功体験や達成感が特異的な自己効力感の向上をもたらしたものと思われる。今後は、クラス全体への効果がなかった理由の分析を進め、対象児だけでなくクラス全体へ何らかの効果が期待できる授業づくりの検討をおこなっていく予定である。
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Research Products
(1 results)