2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害の「特性モデル」を考慮した通常学級の授業づくり方法とその効果に関する検討
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22531064
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
宇野 宏幸 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (20211774)
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Keywords | 教育学 / 特別支援教育 / 発達障害 / 授業方法 |
Research Abstract |
本年度も引き続き、発達障害に関する「特性モデル」に沿った授業案を作成し、授業づくり方法が対象児およびクラス全体の子どもへ、学習面(理解度、動機づけ)および社会性の面で効果を及ぼすかどうか検討した。今回は、AD/HD児のいるクラスを対象に社会的学習メカニズム(状況-行動-報酬)と自己効力感の維持・向上を考慮に入れた授業づくりをおこなった。「状況」の認識を容易にするための指示カードの導入、「行動-「報酬」の関係性をわかりやすくするためのクラスワードなごほうびシステムの実施などを取り入れた。これらの効果を検討するため、教師の教示行動とクラスの子どもの様子を同時にビデオで撮影して、画面の合成をおこなった。この記録をもとに、担任教師とのコンサルテーションをおこない、授業の振り返りのなかで教師-子ども間の相互関係について理解を深めてもらった。ここではまた、1)事実の確認、2)事実の焦点化、3)視点の提供、4)変化の認識、5)評価(承認)の観点で対話を進めていった。 コンサルテーションが進むにつれて、(1)担任の対象児に関する『特性理解』を示す発話の割合が高くなっていった、(2)教師は、具体物を効果的に活用し、動きをともなう活動を取り入れるとともに、対象児への個別的な関わりが減少し、クラス全体への指示の割合が多くなっていった。また、子どもへの承認回数も増加していた。コンサルテーション後期では、(3)対象児の離席行動が減少するとともに、教師の説明などへの注目行動が増加した。この傾向は、クラスの他の子どもにも見られた。(4)対象児の他児への関わりでは、「好ましい関わり方」が増えていった。(5)対象児の学級満足度は「満足群」に維持され、クラスの多くの子どもの満足度は上昇していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業づくりの効果において、学習の動機づけおよび社会性への波及効果については検討が進んだが、学習の理解面でのエビデンス収集が難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度、平成25年度の研究では、学習の理解度をアセスメントするためのワークシートを工夫していく予定である。
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Research Products
(6 results)