2011 Fiscal Year Annual Research Report
縞視標を用いた重度・重複障害児に対する教育的視力評価に関する研究
Project/Area Number |
22531070
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 秀之 筑波大学, 人間系, 准教授 (90294496)
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Keywords | 縞視標 / 教育的視力評価 / Lea GRATINGS視標 / 重度・重複障害児 |
Research Abstract |
Lea GRATINGS視標と特別支援教育の場において活用されている森実式Dot CardsとTeller Acuity Cardを対照検査として晴眼成人に研究協力を依頼し,弱視シミュレーションレンズ(高田巳乏助商店製)を用いた低視力状態による視力評価を実施し,各視標による視力評価の基礎的データの整理することを目的とした。 研究協力者は大学院生26名であり,Lea GRATINGS視標の閾値視角の平均(標準偏差)は5.2分(2.25)であり,ランドルト環を用いた閾値視角の平均(標準偏差)は8.1分(7.04),森実式Dot Cardsの閾値視角の平均(標準偏差)は9.2分(1.80),Teller Acuity Cardの閾値視角の平均(標準偏差)は10.2分(12.13)であった。平均閾値視角から視力値に換算すると,Lea GRATINGS視標0.15,近距離視力0.1,森実式Dot CardsO.1,Teller Acuity Card0.1となり,Lea GRATINGS視標は1段階高めの視力値が評価されている。一方で標準偏差は各視標の中で一番小さく,安定的に評価される可能性が示唆された。 また,Lea GRATINGS視標と近距離視力,森実式Dot CardsおよびTeller Acuity Cardとの相関係数は,それぞれ0.68(F(1,24)=20.8,p<.01),0.44(F(1,24)=5.76,p<.0.5),0.48(F(1,24)=7.35,p<.05)であり,近距離視力との相関が高く出ている。 これらのことから,Lea GRATINGS視標による教育的視力評価においては,これまで教育現場で活用されている各視標と同様に導入することは可能であるが,若干高めの値が評価されることを念頭に実施することが重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始以降に研究機関の異動が生じ,当初予定していたフィールドへの研究協力が困難となり研究の実際的な検証について遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究においては,比較的高めのデータが中心であったため,より低い視力値帯におけるデータを補完していくとともに,実際的に重度・重複障害児に活用できるか否かを検討していく必要がある。
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