2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム児者のための運動支援プログラムの開発と適用
Project/Area Number |
22531073
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
是枝 喜代治 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70321594)
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Keywords | 知的障害 / 自閉症スペクトラム児者 / 運動支援プログラム |
Research Abstract |
本研究の目的は,自閉症スペクトラム(ASD)児者に共通して見られる運動面の不器用さや社会性の困難さなどに対応するための運動支援プログラム(段階別)を作成し,その効果を検証することにある。今年度はASD児者の家族(保護者)から聞き取り調査を行い,彼らの運動面の特徴や運動発達の経過などを探った。サンプリング調査からは,全体的な運動面の遅れや偏りは,個別性が高いものの,比較的共通する内容として,筋緊張が弱く,「はいはい」の期間が健常児に比べて少ないこと,走行時に上肢を上手く活用できないことなどが考えられた。次年度も引き続き,聞き取り調査を実施し,これらの内容について吟味していくと共に,より広範なアンケート調査を試みる予定である。 実験研究では,身体運動の基本である直立姿勢維持能力を評価する重心動揺計(グラビコーダーGS-7:アニマ社製)を購入し,予備実験を行った。予備実験では,健常者を対象に重心動揺検査と生活面に関するアンケート調査を実施し,日常の健康状態と直立姿勢維持能力との相関を算出した。限られたサンプルであったが,直立姿勢維持能力と睡眠時間などとの関連性が若干高いことなどが知見として得られた。本実験では,ASD児者を対象とするため,指示の方法や検査を行う時間帯などにも配慮しながら,ASD児者の特徴を補足的に捉えられる紙面によるアンケート調査の併用などを検討している。 今後は,研究協力機関などの協力を得ながら,重心動揺検査を用いたトレーナビリティー(指導効果)に関する研究や運動支援プログラム(段階別)の開発・検討を行い,その効果を実証的に検証していく予定である。
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