2011 Fiscal Year Annual Research Report
母親の被害的認知による虐待メカニズムの解明~被害的認知尺度の開発~
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22531076
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
川西 千弘 京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (70278547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 淳子 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (00301713)
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Keywords | 虐待 / リスクアセスメント / 被害的認知 / IAT / 潜在的連合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、虐待加害者の認知的歪曲に注目し、情報処理的アプローチから虐待加害傾向の個人差を適切に弁別する指標を作成することである。具体的には研究年度3年間で(a)質問紙(顕在的虐待加害指標)の作成、(b)IAT(潜在的虐待加害指標)の作成、(c)質問紙及びIAT両指標の信頼性と妥当性の検討という手順により研究を進める。平成23年度の成果報告は以下のとおりである。 (a)については、前年度に行った先行研究の分析・検討から、母親の子どもへの被害的認知識に関して多角的な視点からの尺度を独自に作成した。これに加えて、母親の子ども養育態度(養育行為実態把握)に関する尺度、母親の感情状態を測定する尺度およびその他育児環境を測定する尺度を追加し質問紙を構成した。(b)については、自分-子ども及び加害-被害という概念ペアを採用し、その連合の強さを測定するIATを独自に開発した。その際、加害-被害の刺激語の選択において、養育場面に関わりかつ上記概念カテゴリーに適切に分類される単語を抽出するため予備調査を実施した。(c)については、上述したように調査に必要な質問紙(顕在指標)とLAT(潜在指標)が開発できたことから、3か所の幼稚園などで乳幼児を抱える母親166名を対象に、個別実験(調査)を実施した。なおその際、調査参加者には十分なディプリーフィングを行うとともに、データの研究活用への同意を得た。現在、調査データの接合、入力および分析を開始している。また、今後の研究発展に向けて、各指標および調査実施に関わる問題点の整理と改善点の精査、およびこれらの指標を活用した24年度実施する新たな調査計画の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙およびIATの開発が終了し、乳幼児を抱える母親に対して調査を実施済みである。これにより両測度の信頼性と妥当性について検討する資料を得ており、その分析に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータを分析して、独自に開発した母親の子どもへの被害的認知に関する尺度およびIATについての信頼性と妥当性を確認する。それらの問題点を改善した後、これら両測度を用いて、虐待傾向のある母親とそうでない母親を弁別し、子どもや養育に関する認知的歪曲についての相異点を明らかにする調査を計画・実施する。
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Research Products
(1 results)