2012 Fiscal Year Annual Research Report
母親の被害的認知による虐待メカニズムの解明~被害的認知尺度の開発~
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22531076
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
川西 千弘 京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (70278547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 淳子 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (00301713)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 虐待 / リスクアセスメント / 被害的認知 / IAT / 潜在的連合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、虐待加害者の認知的歪曲に注目し情報処理的アプローチから虐待加害傾向の個人差指標を作成することである。過去2年の調査から母親の子どもへの被害的認知に関する1.IAT(潜在的測度)と2.質問紙(顕在的測度)を作成し、今年度は場面想定法を用いて両測度の信頼性と妥当性の検討を行った。具体的には、幼児を養育中の母親95名を対象に、ネガティブな養育場面を紙面提示し、(1)登場する幼児の印象(2)幼児の行動の帰属(3)幼児への対処方略について尋ね、上記両測度の個人差が(1)~(3)の変数にいかなる歪曲を生じさせるのかを明らかにした。また、その際場面に登場する幼児のネガティブさを緩和する情報の有無も操作し、緩和情報への気づきに対する影響も併せて検討した。その結果1.IATでは、潜在的に自分を被害的あるいは加害的と認知しない人は、緩和情報に敏感に気づき幼児のネガティブな行動をより「意図的ではない」と割り引いて解釈することが示された。また、潜在的に加害的と認知する人が被害的と認知する人より、幼児のネガティブな行動に接するとより「愛情が萎える」傾向が示された。2.質問紙では、「子育てしていると社会から取り残されていくような気がする」などアイデンティティー喪失感が高い人、「子どもにあやつられているように思う」など養育や子どもを被害的に解釈しやすい人、および「子育てしていると自分の未熟さが露になり情けなくなる」など自分の短所に対して脅迫感を感じやすい人ほど、ネガティブな行動をする幼児に否定的印象をもちがちで、その行動を「悪意がある」「意図的」というように変わりにくいものとして帰属しがちであること、そして特に短所への脅迫感を感じやすい人ほど「言葉でしかる」「愛情が萎える」「行動が習慣づかないよう説明・誘導す」さらに「身体的にしかる」など幼児に高圧的な対応をしがちであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)