2011 Fiscal Year Annual Research Report
アーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化とlog幾何
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22540011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 能力 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70272664)
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Keywords | 対数的幾何学 / アーベル多様体 / logアーベル多様体 / トロイダル・コンパクト化 / 佐武コンパクト化 / レベル構造 |
Research Abstract |
当研究はアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、log幾何を用い、10gアーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目ざすものであった。23年度は、梶原健氏、加藤和也氏と共同で、logアーベル多様体の模型や偏極についての研究を行ない、現在、その成果をとりまとめつつある。執筆中のプレプリントの概要は以下の通りである。 1.log構造付きの代数空間の関手的な特徴付け。log構造付きの代数空間をXとすると、従来の代数空間と同じように、log概型X'で覆うことができるが、逆にlog概型X'で覆ったものが、log構造付きの代数空間となるためには、関係Rから直積X'xX'への射がlog構造を忘れて概型の射とみなしたときにmonomorphismであることが必要となる。 2.logアーベル多様体の表現可能模型。 3.log Artin criterions 4.logアーベル多様体の固有模型の存在。 5.アベロイド上のG{m log}-torsorの研究。 6.logアーベル多様体を表現可能模型で覆うことができることの証明。 7.G{m log}-torsorの代数化。 8.logアーベル多様体上のcubical構造と偏極の定義。 9.logアーベル多様体の射影模型。 10.logアーベル多様体の双対。 このうち、2の表現可能模型の存在は、任意のbase上のlogアーベル多様体がZ上有限生成なbase上から来ること(降下という)を仮定すれば証明できるが、降下はまだ示せておらず、表現可能模型の存在も一般には示せていない。降下は、研究全体の目標である、logアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化の構成に必要な、モジュライ関手の局所有限性にあたる、重用な性質である。 また、logアーベル多様体の固有模型の存在については、完備扇の存在は知られているので、2を認めれば、完備扇に対応する部分が固有であることを代数空間のvaluativecriterionを用いて示すことに帰着される。現在のところは、離散付値環に対してのみvaluativecriterionの条件が確かめられているので、それだけで十分であることを示す必要がある。 新年度において、これらの点を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究はアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、logアーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目ざすものであるが、logアーベル多様体のモジュライ空間の構成の基礎となる、模型や偏極について、一通りのことが示せているため、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の予定通り、共同研究者の梶原健氏、加藤和也氏と緊密に連絡を取り合い、模型や偏極について、さらに研究を続け、当面の問題である、logアーベル多様体のモジュライ空間の有限性(logアーベル多様体の降下)に取り組む方針である。
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