2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540012
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅野 孝史 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30183841)
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Keywords | ユニタリ群 / ヤコビ形式 / 保型L関数 / Hecke環 |
Research Abstract |
n次ユニタリ群とHeisenberg群の半直積群であるユニタリ・ヤコビ群上の保型形式(ユニタリ・ヤコビ形式)を用いて,ユニタリ群上の正則保型形式の精密な部分フーリエ展開を求めること,保型L関数の新たな構成を与えることを目的としている. 前年度に導入した平準化元(冪等元)を用いて,ユニタリ・ヤコビ形式の空間を切り分ける問題に取り組んだ.残念ながら,零化される部分空間を切り分ける作用素を見出すことは未だにできていない.解決の糸口を見出すため,直交群上の正則保型形式に付随するWhittaker-Shintani関数について,類似の問題を考察した.これはFourier係数が消えていない極小のパラメータの固定化部分群が極大格子に対応しないとき(即ち導手が1より大きいとき),Andrianov流のL関数の構成を考えるという問題である.2次シンプレクティック群や,符号(2,2)のユニタリ群の場合には,既知の結果があるが,この場合でも直交群の枠内での処理は知られていない.局所L関数を構成できるような作用素の候補は(小さなサイズでは)あるので,一般サイズへの拡張と,その経験を生かして本来の問題であるユニタリ・ヤコビ形式の場合の考察を次年度に行う. 大域的な問題を考えるために,小さいサイズのユニタリ群上の保型形式の具体例作成を引き続き行った.基本は,符号(2,4)の直交群とisogenouな符号(2,2)のユニタリ群へのOdaリフトと,それを3次ユニタリ群に制限したもの(Kudlaリフト)である.また,Eisenstein級数のFourier-Jacobi展開の考察も始めた.量終年度においては,これらを踏まえて大域的L関数の考察をすすめる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)計画した研究時間(エフォート)が十分には確保できなかった. (2)原始的テータ関数という問題が想定以上に深く,困難が生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
原始的テータ関数については,サイズの小さな場合に大域的な結果を目指す.また,ユニタリ・ヤコビ形式に付随するShintani関数を導入し,指数が1の場合にその大域的L関数の解析接続・関数等式を考察する. なお,指数が1より大きな場合については,対応する問題を直交群でも検討する. いずれにしても,十分な研究時間が必須であり,その確保に努める.
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Research Products
(1 results)