Research Abstract |
Gを有限群とする。kを標数pの代数的閉体とし,pはGの位数を割り切るとする。BをkGのブロック・イデアル,DをBのディフェクト群,iをソースべき等元とする。 1.ブロックBのソース多元環ikGlが定める移送写像を調べるために,ikGiの(kD,kD)両側加群としての直和分解を調べる必要がある。これについて,Dとiで定められるBrauer圏に属する部分対(Q,b_Q)の安定部分群に属する元gが定めるH^*(D,k)の移送写像が零写像でなければ,Qの中心化群の元yを適当に選べば(kD,kD)両側加群k[DgyD]がikGlの直和因子に同型となることを示した。これまでは,極大部分対(D,b_D)の安定部分群に属する元xから得られるk[DxD]しか知られていなかったので,この結果の意義は大きい。 2.有限群Gがp^-可解であるとき,H^*(G,B;i)の極大イデアルスペクトラムとH^*(D,k)のそれが一致するとき,Bはべき零ブロックであることを示した。 3.HをGの部分群とし,HのブロックCのGへのBrauer対応が定義され,それがBに一致しさらに,ディフェクト群としてDを持つと仮定する。このとき,H^*(G,B;i)とH^*(H,C;j)との関係を調べることは特に重要な課題であるが,Bのソースべき等元iとCのソースべき等元jがよい関係にあるとき,H^*(G,B;i)がH^*(H,C;j)に含まれるためにはH^*(G,B;i)がkDのHochshildコホモロジー環のiLj安定部分環に埋め込まれることが必要十分であることを示した。ここで,Lは(kG,kH)両側加群であり,ブロックBとブロックCを強く関係付けるものとして,本研究代表者によって定義されたものである。この結果はコホモロジー環H^*(G,B;i)の特徴づけを与えた研究に基づくものであり,雑誌"Algebras and Representation Theory"に掲載されることが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
p-可解についてはほぼ所定の目標に達したが,ikGlが定めるHochshildコホモロジー環の移送写像については,主ブロックに対しても有効なてがかりがつかめていない。しかし,実績にも示したように,ikGl直和因子について,新たな知見も得られた。また,Brauer対応で対応するブロックのコホモロジー環の包含関係については当初予想していなかったことで.研究の進展にともなって得られたものである。
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