2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540018
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平賀 郁 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (10260605)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | エンドスコピー |
Research Abstract |
本研究の目的である局所ラングランズ対応においては、表現のパケットについて明らかにすることが目標の一つであり、表現のパケットの構造を調べる為にはエンドスコピーの研究が重要である。旧来の局所ラングランズ予想は簡約代数群に対する予想であり、簡約代数群の被覆群はその範疇に含まれていない。研究代表者は昨年度までの研究に引き続いて、今年度 SL(2) の奇数次の被覆群のエンドスコピーを研究し、パケットの構造や、被覆群の表現とそのエンドスコピー群として現れる簡約代数群の表現との間の指標の関係式を得た。この結果と、これまでに知られている SL(2) の2次の被覆群のエンドスコピーとパケットに関する結果を合わせて、被覆群のエンドスコピーやパケットが被覆群の次数によってかなり違ってくることが分かる。これと合わせて研究代表者は今年度、GL(2) と SL(2) の非等方的な内部形式の関手的な意味で良い奇数次の被覆群の構成を行い、これらの群に関しても SL(2) の場合と類似のエンドスコピーやパケットの構造についての結果を得た。これまでにも半分裂した簡約代数群の被覆群に関するエンドスコピーの研究は行われていたが、GL(2) や SL(2) の非等方的な内部形式は半分裂していない群であり、本研究により、このような半分裂していない簡約代数群にも関手的に良い被覆群が存在しており、それらに対しても代数群の場合と同じようにエンドスコピーの理論が存在し得ることが示されたことはエンドスコピーやパケットの研究にとって意義がある。 また、本研究で得られたエンドスコピーに関する結果には、被覆群の表現と簡約代数群の表現の間の指標の関係式も含まれており、これは、本研究の目的の一つである表現の不変量の研究と関連して意義をもつ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では簡約代数群の局所ラングランズ予想について、パケットやエンドスコピーも含めた精密な研究を行うことを目的としている。旧来のラングランズ予想は簡約代数群に関する予想であった為、本研究では当初主に古典群を研究対象として想定していたが、研究の過程で簡約代数群の被覆群に対しても当初考えていたよりも精密なエンドスコピーの理論が存在する可能性が見えてきた。特に、本研究により SL(2) の被覆群のエンドスコピーに関する精密な結果が得られてきたり、GL(2) や SL(2) の非等方的な内部形式に対しても関手的に良い奇数次の被覆群が構成可能であり、それらに対してもエンドスコピーの理論が存在していることを示したことは、局所ラングランズ予想やエンドスコピーやパケットの研究に関して意義のあるものである。また、本研究においては、被覆群の表現の指標とそのエンドスコピー群である簡約代数群の表現の指標との関係式も得られており、表現の不変量に関しても被覆群の表現も含めて考察する為の実例が得られてきている。 以上のように、研究の進展に応じて研究計画を修正しながら、当初の計画よりも広い範疇の群に対してパケットやエンドスコピーを考察し、意義のある結果が得られているため、研究は全体としておおむね順調に進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は局所ラングランズ予想をエンドスコピーやパケットの構造も含めて詳細に研究することを目的の一つとしており、当初はその対象として特にユニタリ群や特殊ユニタリ群を想定していた。しかし、今年度までの研究により、エンドスコピーやパケットの理論が GL(2) や SL(2) の非等方的な内部形式の奇数次の被覆群に対しても存在していることが分かった。このことはエンドスコピーやパケットの理論が簡約代数群だけではなくその被覆群に対しても広く存在する可能性を示唆しており、簡約代数群だけではなく被覆群に対してもエンドスコピーやパケットの研究を行うことが必要であると考えられる。よって、今後は、研究対象を当初の想定であるユニタリ群や特殊ユニタリ群に限定せず、簡約代数群の被覆群に対してもエンドスコピーやパケットの研究を行っていくことにする。技術的には、簡約代数群の場合と同様に跡公式を使った研究を行っていく予定である。また、表現の不変量に関する研究については、エンドスコピーやパケットに関する研究の進展をみながら研究していく予定である。
|
Research Products
(2 results)