2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22540022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今野 均 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00291477)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子群 / 楕円関数 / 超幾何関数 / アフィン リー環 / 可解格子模型 |
Research Abstract |
多変数楕円超幾何級数の定式化: 1) sl_N型の頂点型楕円R-行列と面型楕円R-行列の繋絡ベクトルとその双対を用いて, U_{q,p}(\hat{sl}_N)のL-作用素の構成を行い, それを対称フュージョンして補助空間に関するトレースをとりさらに多重主特殊化を行うことにより, 梶原-野海, Rosengrenらによって定式化されたsl_N型の多変数楕円超幾何関数が得られることを示した. 2) 対応するフュージョンされたZ_N Belavin模型にBethe仮説法とsl_N-Sklyanin代数のテータ関数の空間上の表現を適用することにより, 繋絡ベクトルを特徴付ける差分方程式を導出した. 面型楕円量子群の定式化と表現: 1) 面型楕円代数について, Drinfeld型U_{q,p}(g)とFaddeev-Reshetikhin-Semenov-Tian-Shansky-Takhtajan型E_{q,p}(g) (g: 非捩アフィン リー代数)を, pの形式的巾級数環上の位相代数として再定式化し, g=\hat{gl}_Nの場合に, 両者が同型であることを示した. 2) U_{q,p}(g)に付随するダイナミカル量子Z-代数Z_cを定式化し, U_{q,p}(g)およびZ_cのレベル kの無限次元表現のある部分圏同士が同値となること, 特に, U_{q,p}(g)の最高ウェイト表現の既約性は対応するZ_cの表現の既約性に帰着されることを示した. 3) 2)に基づき, U_{q,p}(g)のレベル 1最高ウェイト既約表現をg=A{(1)}_n, B{(1)}_n, D{(1)}_n, E{(1)}_6,E{(1)}_7,E{(1)}_8の場合に具体的に構成し, 同表現空間は対応するコセット型の変形W-代数の既約表現空間の直和への自然な分解を持つという予想を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多変数楕円超幾何関数の定式化については、頂点-面型対応を与える繋絡ベクトルの対称フュージョンとの関係が見いだされ、差分方程式の導出も行い計画通りに進行している. 楕円量子群の定式化に関しても、位相代数としての理解が進み、また、表現においては、ダイナミカル量子Z代数の構造を見出し、変形W代数との関連などがだいぶすっきりと理解できるようになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
多変数楕円超幾何関数の定式化については、本年度に導いた頂点-面型繋絡ベクトルの差分方程式を足掛かりとして、Rainsが提案している補間Macdonald多項式の楕円関数化との関係を調べていく。また、フュージョンを一般化した場合の対応する多変数楕円超幾何関数についても調べていく。一方、楕円量子群の定式化については、本年度の結果を捩アフィン リー環の場合やトロイダルの場合へと拡張することを試みる。
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