2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540029
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
古澤 昌秋 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50294525)
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Keywords | 相対跡公式 / 保型エル函数 |
Research Abstract |
次数2のジーゲル保型形式のスピノルL函数の,函数等式の中心における特殊値に関するBoechererの予想及びその一般化を証明すべき相対跡公式について,基本補題のヘッケ環への拡張を,第一と第三の相対跡公式について成功し,その証明を記した論文のMemoirs of the AMSへの掲載が決定した.また,拡張された基本補題を用いて,第一の相対跡公式について,ある条件下においてsimple relative trace formulaを証明した.論文は完成し,現在投稿中である.制約条件は強いが,有限体上のGSp(4)の複素表現に関する指標表を用いて,確かにその条件を満たす実例が存在することを示すことができた.これは,Boechererの予想を満足する例となっており,予想の成立を支持する強い証拠として大きな意義がある.前者はKimball Martin,Joseph Shalikaとの共同研究であり,後者はKimball Martinとの共同研究である. 上記の研究と並行して,森本和輝との共同研究も行った.一般ユニタリー群GU(2,2)についてShalika periodを考察し,それとtwisted exterior square L函数のs=1における極との関係について証明した論文は,Proceedings of the AMSに掲載が決定した.この結果は,GU(2,2)に付随する志村多様体の幾何に関連して興味深い結果である.また,GL(2)と定符号の特殊直交群のテンソル積L函数の特殊値の代数性に関する結果を得,論文を完成し投稿した.これはその特殊な場合として,Rankin triple L函数のunbalancedとよばれる場合のある場合を含んでいる.今後,特殊値の数論的性質の研究に役立つことが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本補題のヘッケ環への拡張を第一と第三の相対跡公式に証明し,その論文がMemoirs of the AMSに掲載決定した.また,第一の相対跡公式について,拡張された基本補題を用いて,simple relative trace formulaを証明することに成功した.おおむね順調に,研究の最終目標とするBoechererの予想への歩みを進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
軌道積分のsmooth matchingを証明することが,次に解決すべき研究課題であると考えられる.Arthur-Selberg trace formulaの場合のWaldspurger等の研究や相対跡公式の場合のJacquetによるGL(n)のquadratic base changeの場合の研究やWei Zhangによるユニタリー群の場合の研究が多いに参考になると考えられる.また,軌道積分の漸近挙動や芽展開を考察することも必要であると考えている.Smooth matchingに成功したならば,それを用いて,simple relative trace formulaの条件を緩和することも考察したいと考えている.
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Research Products
(2 results)