2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540036
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
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Keywords | 整数論 / モジュラー形式 |
Research Abstract |
この研究期間の具体的目標は (i) p進モジュラー形式のベクトル値の場合の拡張 (ii) ベクトル値Siegel modular形式の有理整数環上の構造の研究 等であった。(i)の研究テーマについては,共同研究者の一人であるドイツ、マンハイム大学のS.Boecherer教授との研究で結果を残すことができ,現在その成果を論文「On p-adic properties of Siegel modular forms」としてまとめ投稿中である。その内容は,永らく懸案であった,Siegel modular形式の場合のp進理論の確立にある。すなわち,J.-P. Serreが一変数のmodular形式の場合に研究したp進modular形式の多変数の場合への拡張が,この論文で一応完結した。さらに,この論文ではベクトル値の場合にまでp進modular形式の概念を拡張することを,試みており,いくつかの場合に成果を挙げた。(ii)については,(i)と関連して,具体的なベクトル値Siegel modular形式の場合に,Fourier係数(この場合はベクトル)を計算することにより,加群としての構造を確定する問題について研究を行なった。最終目標は,有理整数環上の(ベクトル値)Siegel modular形式のなす加群の構造の決定である。この点については,2次で特殊な表現の場合に複素数体上の加群の構造が,T.Satohによって決定されているが,現在この結果を,有理整数環上のModular形式の場合に拡張を試みている。現時点では,Satohの決定した加群の生成元について数式処理ソフトMathematicaを用いて数値例を計算し,データを収集している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であるp進modular形式の一般化について,「多変数化」については最終的結果を得たと言ってよい。「ベクトル値化」については現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
p進Siegel modular形式のベクトル値の場合への拡張について,その定義の妥当性,すなわちどのような定義が妥当であるかを検討中である。そのために,実際のFourier係数を,数式処理を用いて,データを取得中である。
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