2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 伸生 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90298167)
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Keywords | 正標数 / 代数多様体 / 特異点 / フロベニウス射 / F爆発 / F正則 / Fサンドイッチ / 平坦化 |
Research Abstract |
正標数の代数閉体上で定義された代数多様体Xと非負整数eに対し,Xのe次F爆発とよばれる自然な双有理変換φ_e:FB_e(X)→Xが安田健彦氏により定義され,Xが商特異点をもつ場合のF爆発とG-ヒルベルト概形との関係などが調べられている.F爆発はXの構造層のフロベニウス順の普遍的平坦化として群の作用とは関係なく定義されるため,商特異点以外の特異点について,そのF爆発がどのような双有理変換であるかを考察することは興味深い問題である.標数0の曲面商特異点のG-ヒルベルト概形は最小特異点解消であるから,2次元の場合にはとくに次の自然な問が生じる: 問.正規曲面特異点Xのe次F爆発は,e>>0において最小特異点解消と一致するか? 本年度の研究においては,この問に対するFサンドイッチ特異点を用いた反例とF正則特異点における肯定的な結果を与えた. 例(澤田宰一との共同研究).X=(X,o)を標数p>0の体上z^p=x^py-xy^pで定義される正規曲面特異点とする.このとき任意のe>0に対して,$X$の最小特異点解消Y上のp+1本の非特異有理曲線の鎖をA_{p-1}・特異点につぶす非同型双有理射Y→FB_e(X)が存在する.とくに,FB_e(X)は最小特異点解消とは一致しない. 定理.X=(X,x)をF正則曲面特異点とするとき,そのe次F爆発FB_e(X)はe>>0においてXの最小特異点解消と一致する. 上の定理の証明には,2次元完備局所環RのF正則性が,Rがその上の加群として有限生成な2変数形式ベキ級数環の純部分環であるという性質により特徴付けられることを用いる.
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Research Products
(5 results)