2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 伸生 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90298167)
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Keywords | 正標数 / 純非分離射 / F-特異点 / フロベニウス写像 / F-爆発 / F-サンドイッチ / 代数多様体 / 単純楕円型特異点 |
Research Abstract |
本研究は,正標数の代数幾何学に特有の現象である純非分離射とそれに伴って現れる代数多様体の諸相を,F-特異点の理論,ベクトル束,ヒルベルト概形を用いたF-爆発など様々な視点から研究することにより,正標数の代数多様体の幾何に対する理解を深めてゆくことを目的としている.平成23年度においては主に正標数の曲面特異点のF-爆発について研究を行い以下の成果を得た.そのうち2.3.は,澤田宰一氏,および,安田健彦氏との共同研究である. 1.F-正則曲面特異点のF-爆発:正規曲面特異点のうち,F-正則とよばれるフロベニウス写像の分裂に関して良い性質をもつクラスについて,その高次F-爆発が最小特異点解消と一致することを証明した. 2.F-正則でない有理2重点のF-爆発:標数2,3,5の曲面の有理2重点においては,F-正則でない病的なものが存在する.これらのうちF-サンドイッチ特異点であるものを中心に幾つかの特異点について,F-爆発の構造を決定した.この計算においては,安田氏による計算ソフトMacaulay2上のプログラムを利用している. 3.単純楕円型特異点のF-爆発:正標数の単純楕円型特異点について,環の次数構造と例外楕円曲線の上のベクトル束の構造などを用いて,そのF-爆発を研究した.その結果,F-爆発が非特異でないもの,とくに非正規であるものや,F-爆発列が単調でないもの,F-爆発の無限列をもつものなど,有理特異点の場合とは異なるF-爆発をもつ単純楕円型特異点があることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元の幾つかのクラスの特異点について,F-爆発の構造が明らかになってきており,期待通りの進行状況といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
標数2,3,5の有理2重点および単純楕円型特異点のF-爆発の構造を決定することを目指す.単純楕円型特異点については,標数pおよび最小特異点解消の例外楕円曲線の自己交点数とその通常または超特異性とにより,F-爆発の構造を完全に決定できるものと期待される.
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Research Products
(4 results)