2012 Fiscal Year Annual Research Report
有理的連結多様体とその上のベクトル束の射影幾何学的視点と圏論的視点からの研究
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22540043
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大野 真裕 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70277820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺川 宏之 都留文科大学, 文学部, 教授 (80277863)
山口 耕平 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00175655)
木田 雅成 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20272057)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピノル束 |
Research Abstract |
非特異射影多様体上のベクトル束Eは,Eからできる射影空間束P(E)上のトートロジカル直線束がネフになるとき,ネフという.射影空間上のネフなベクトル束で,第1チャーン類が2となるもの,及び,2次超曲面上のネフなベクトル束で,第1チャーン類が1となるものは,Peternell-Szurek-Wisniewskiによって分類されている.従って,次の問題として,2次超曲面上のネフなベクトル束で第1チャーン類が2となるものを分類せよ,という問題があげられる.この場合は,第1チャーン類が1の場合より,より多様なベクトル束があらわれるので,それをどのように記述・分類するかも重要な点となる.2次超曲面Q上の連接層のなすアーベル圏の有界導来圏には,スピノル束と直線束よりなる,完備な強い意味での例外列(full strong exceptional sequence)が存在する(Kapranovの定理).故に,一つの自然な記述法は,スピノル束と直線束を使って,(Qの部分多様体のイデアル層などは使わずに)記述するというものであろう.今年度は,次元nが4以上の2次超曲面Q上のネフなベクトル束Eで,第1チャーン類が2となるものを,スピノル束と直線束を使って記述して分類することを試み,以下の結果を得た. 1. nが4以上のとき,スピノル束と直線束を使って具体的に記述して分類した場合にどうなるかの予想リストを構成した. 2. nは4以上とし,PをQの線形部分多様体で最大次元のもの(射影空間と同型となる)とする.このとき,P上のネフなベクトル束でチャーン類が2のものは,すべて,Q上のネフなベクトル束でチャーン類が2のもの(それらの,スピノル束と直線束を使った具体的記述もわかる)の制限として得られる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次元以上の非特異2次超曲面上のネフなベクトル束Eでチャーン類が2になるものを,スピノル束と直線束を使って記述して分類するということは,スピノル束とEからできるExt群と,射影直線束P(E)(これはファノ多様体となる)の幾何との関係が解明できなかったためもあり,達成できなかった.しかし,Bondalの定理から得られるスペクトル系列や,その応用として得られる,4次元以上の非特異2次超曲面上のネフなベクトル束Eでチャーン類が2になるものをスピノル束と直線束を使って記述・分類したらどうなるかについての予想などは,発表の価値があると思われたため,論文にまとめ,投稿した.また,その内容についても,早稲田大学教育学部で開かれた第109回7階セミナーで「A spectral sequence and nef vector bundles with small Chern classes on hyperquadrics」と題して講演した.最後に,この問題以外にも,非有界導来圏等も扱えるよう,Brownの表現可能定理などについても詳細に学んだ.以上の理由による.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今まで以上に,ホモロジカル射影双対性に重点をおいて,研究に取り組む.
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Research Products
(5 results)