2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 光靖 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (10208465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (80240802)
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Keywords | Cox環 / 因子類群 / 正準加群 / 亜主束 / 小行列式 / 極小自由分解 |
Research Abstract |
明治大学の藏野和彦氏と共同で、因子類群が有限生成自由 Z 加群である正規射影多様体について、Cox環の正準加群の次数付けを決定した。この結果は出版された。また、Yに代数群Gが自明に作用するG射 f:X → Yについて、XおよびYから余次元2以上の閉集合を除いた残りが主G束になっているときにfは亜主G束であると定義し、このときにXとYについて、反射層の圏、正準加群、因子類群の関係がうまくいっていることを示し、亜主束には豊富な例があることを示した。特に、最近Braunが証明した渡辺による不変式環のGorenstain性に関する定理の一般化に別証明を与えた。この結果はベトナムでの研究集会に於いて発表された。亜主束を一般化した有理的亜主束は群Gがトーラスの場合にCox環を調べる方法を与えており、今後が期待される。証明には、同変層の振る舞いを調べることが随所に出て来ており、同変層を用いた不変式論の一環になっている。 また、genericなm×n行列(m〓n)のm次小行列式全部で生成されるイデアルのr乗I_m^rについて、そのsyzygyの生成系を群GL_m×GL_nの表現として決定した。これにより、I_m^rの極小自由分解が線型であるというAkin-Buchsbaum-Weymanによる古い結果や、I_m^rの射影次元を決定した最近のBruns-Conca-Varbaroの結果を一般化している。また、syzygyの生成系が分かったことにより、今後I_m^rの極小自由分解が具体的に記述出来る可能性が出て来た。これについては、n=m+1の特別な場合等に大渓正浩氏との共同研究で実際に分かっており、今後の研究が待たれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有理的亜主束についての研究が進展するなど、当初期待した通り、同変層を応用した不変式論が十分に展開されており、おおむね順調に進展していると言える。この研究が藏野氏との共同研究のCox環に関する研究とも深く関わっていることが判明し、面白い展開となっている。当初計画した内容として、不変式環のF正則性などの問題があり、これについては亜主束の枠組みでの進展はみられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
F正則である不変式環の中で最も典型的なdeterminantal ringを定義するdeterminantal idealについて、そのベキ乗の極小自由分解を求めることが大変重要であり、このことについて大渓正浩氏と研究を今後押し進めて行く計画である。また、Pfaffian idealについてもそのベキ乗の極小自由分解を考察する。また、F有限射の概念を定義し、そのdescent等についても調べて来たので、その不変式論的な位置づけについても調べて行きたい。また、亜主束の実例、性質については調べているが、新たな展開が無いか模索して行く。分担者吉田健一氏が24年度から日本大学に移籍したので、環論的側面の研究のために東京に頻繁に必要が出てくると思う。
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