2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540055
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
楫 元 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70194727)
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Keywords | 射影代数幾何 / 正標数 / ガウス写像 / 射影双対 |
Research Abstract |
ガウス写像の一般ファイバーの線形性について,古川勝久氏(早大理工)との共同研究を行った.具体的には当該研究課題応募時の「研究目的」欄に挙げた「ガウス写像(の引き起こす関数体の拡大)が分離的の場合にガウス写像の一般ファイバーは線形となるか?」という未解決問題に取り組んだ(標数零の場合に肯定的であることは1970年代から知られている).度重なる議論の結果,この問題は古川氏のアイディアにより肯定的に解決された.古川氏はこの問題解決で得たアイディアをさらに発展させつつある.その内容は古川氏による単著論文として発表される予定である. 一方,正標数の基礎体上で,ガウス写像の一般ファイバーが線型とはならない最初の例は,J.Rathmann(Math.Ann.276(1987))と楫(J.London Math.Soc.(2)33(1986))により独立に与えられたが,後者の論文の主題,つまり接線に関するtrisecat lemma-tangential trisecant lemma-について,射影曲線の特異点に関する条件を緩めることができ,若干ではあるが一般化することができた.現在,特異点に関する条件を完全に外せるかどうか研究中である. なお,研究発表と研究連絡を目的として,2011年10月にブラジルで開催された「第11回代数幾何学可換代数研究集会」酸化を計画していたが,交付金3割削減の可能性を見込んだ「交付決定額の分割払い実施」のために参加できなかった.後に全額支給されることにはなったが「時すでに遅し」であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究課題応募時に挙げた上記未解決問題に取り組んでいたため,また,それから派生した「"tangential trisecant lemma"の一般化」に取り組んでいたため,2011年度研究実施計画に挙げた「ガウス写像が非分離的となる射影埋め込みをもつ射影多様体の分類」は遅れている.ただ,未解決問題の解決などにより,研究課題である「正標数の射影代数幾何」の観点からは大きな進展があったといえよう.
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度の研究実施計画に挙げた「ガウス写像が非分離的となる射影埋め込みをもつ射影多様体の分類」は,期待通りには捗っていない.今後は,当該研究課題応募時に挙げたもう一つの問題「射影多様体に対する再帰性とガウス写像の分離性の関係」について取り組みたい.これについては.上記「研究実績の概要」に挙げたガウス写像の一般ファイバーの線形性の研究から,問題解決の糸口が掴めと思われる.また,2011年度に若干の一般化に成功した"tangential trisecant lemma"のさらなる一般化に取り組みたい.
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Research Products
(3 results)