2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540060
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片長 敦子 信州大学, 全学教育機構, 講師 (20373128)
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Keywords | 特異点 / 単純K3特異点 / 超曲面孤立特異点 / K3曲面 / トポロジー / リンク / オーリック予想 / 正規K3曲面 |
Research Abstract |
超曲面孤立特異点の位相は、特異点のリンクの位相型とリンクの球面への埋め込まれ方で決定されることが知られている。本研究では、代数幾何学の視点から現れた"単純K3特異点"の代数幾何学的・位相幾何学的構造の解明を目指している。単純K3特異点は単純楕円型特異点の3次元版と考えられるので、豊かな数学的構造が期待されている。またこの特異点は、ある適当な特異点解消によりその例外集合として特異点を持ったK3曲面が現れることから、K3曲面の豊かな構造が単純K3特異点の構造に影響していると予想される。具体的には定義多項式が"非退化"な場合と"退化"している両方の場合において、超曲面単純K3特異点の(1)リンクの位相型の決定(2)リンクの位相型とK3曲面の格子との関係解明を目指した。平成23年度の研究成果は以下の通りである。 (1)非退化な斉次多項式で定義された超曲面単純K3特異点のリンクの微分同相型は、すでに他の分野において別の方法より決定されていることが判明したが、位相幾何学的・代数幾何学的でより一般の場合における証明を与えることに成功した。またこの研究において、オーリック予想に対する肯定的な部分的解決も得られた(投稿中)。(2)非退化な斉次多項式で定義された超曲面単純K3特異点のリンクとして現れない実5次元多様体が、非退化な"斉次多項式でない多項式"で定義された超曲面単純K3特異点のリンクとして無限個実現できた。(投稿中)。(3)伊藤氏(早稲田大)との共同研究において新しい特異点の位相的不変量を模索する中で、トーラス結び目の最小種数を持つコボルディズムが具体的に構成できた(投稿中)。 本研究により高次元の特異点の位相幾何学的構造が明らかになったことは意義がある。また代数幾何学的および位相幾何学的構造の両方の分野にまたがる特異点の構造の関連性を研究することは、特異点の数学的構造を知るうえでとても重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、具体的な目的の一つである定義多項式が"非退化"な場合において、1)非退化な斉次多項式により定義された超曲面単純K3特異点のリンクの位相型の決定が達成された。さらに目的の2)リンクの位相型とK3曲面の格子との関係解明については関係がないことが明らかになった。さらに、非退化な斉次多項式により定義された超曲面単純K3特異点のリンクの位相型のみに限らず、その特異点の埋め込まれ方についても完全に解明(上記、9.研究実績の概要の成果(1))出来たことや関連する研究(上記、9.研究実績の概要の成果(2)、(3))においても成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究において、非退化な"斉次多項式でない"多項式で定義された超曲面単純K3特異点の位相幾何学的構造に関する研究(上記、9.研究実績の概要の成果(2))の足掛かりができた。この方面の研究は、位相幾何学的に面白い発展性が見込まれるので、この研究をさらに推進するため、国内外の関連する研究者との研究交流を深める。また、単純K3特異点の例外集合として特異点を持ったK3曲面が現れるが、このK3曲面の格子の構造は、リンクの位相型ではなく、もっと深い特異点の位相幾何学的構造、もしくは特異点の代数幾何学的構造に深く関わっていると考えられるので、今後もK3曲面の格子に詳しい研究者との研究交流を続けることにより、関係を解明していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)