2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540069
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 斉 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70192771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋上 和弘 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (60262151)
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Keywords | 体積予想 / 結び目 / colored Jones 多項式 / Chern-Simons不変量 / Reidemeister torsion / HOMFLY多項式 |
Research Abstract |
体積予想とは,結び目の色付きJones多項式の位相的・幾何的な性質を調べるものである.一般にリー環とその既約表現が与えられたとき,量子不変量が定義されることはよく知られている.色付きJones多項式はリー環sl(2;C)とそのN次元既約表現に対応したものであるので,体積予想は量子不変量と幾何を結びつける予想であるととらえられる. リー環をsl(n;C)にかえ,表現を様々にとることで色付きHOMFLY多項式が得られる.体積予想を量子不変量に拡張するために,今年度はまず色付きHOMFLY多項式を考察し,いくつかの結び目に対してコンピュータによる実験を行なった.残念ながら得られた数値がどのような位相的・幾何的な性質を意味するかまでは判明しなかった.Jones多項式が1変数Laurent多項式であるのに対してHOMFLY多項式は2変数であるため,変数のどのような特殊化が適当であるかも問題である. また,Kalman氏と共同で結び目のHOMFLY多項式(sl(n;C)のn次元既約表現に対応するもの)の新たな組み合わせ的な意味付けを与えた.具体的には次のような結果である.平面上の2部グラフに対応して,特殊交代結び目が考えられる.このような結び目に対してHOMFLY多項式のzに関する最高次の式(vのLaurent多項式になる)の,グラフ理論的な意味付けを与えた.ここで,結び目のHOMFLY多項式P(v,z)はAlexander多項式Δ(z)を2変数に拡張したものとする.この結果に関する論文は現在執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,体積予想およびその一般化を他の結び目について証明する予定であったが,リー環を一般化しHOMFLY多項式に関する体積予想を考察した.これに関する結果は残念ながら満足のいかないものであるが,HOMFLY多項式に関する別の結果も出たのでおおむね順調であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
体積予想の一般化については,リー環の一般化の他にも,結び目の入っている空間の一般化,絡み目への一般化など様々に考えられる.今後も自由な発想で研究を続けてゆきたい.
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