2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内藤 久資 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (40211411)
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Keywords | 変分問題 / 幾何学 / 数値解析 |
Research Abstract |
今年度は、平面の有界領域において、与えられた全熱伝導率の下で、最も効率的な熱伝導を与える熱伝導率分布を考察した。より詳しくは、昨年度に引き続き、境界条件をディレクレ境界条件に設定し、1次元および2次元の矩形領域において、2種の材料を与えた時の最適な熱伝導を実現する材料分布の存在を考察した。昨年度の時点では、「最適な熱伝導」を与える汎関数の設定を、全エネルギーとして計算していたが、今年度は「第一固有値」を与える汎関数を考察し、人工的な配置に対しての第一固有値の挙動を数値的に計算するとともに、その最小解または最大解における解の特徴づけを考察した。数値的には、固有関数の値とその導関数の値に関する不等式が成り立つことが予想できたが、その厳密な証明には、一部ギャップが残っている。 また、今年度末には、第一固有関数の解の正則性または部分正則性の証明に着手し、「第一固有値」を汎関数とした時の、「最適な熱伝導」を与えるフレームワークを得つつある。 ただし、残念ながら、数学的にリゴラスな証明を完了したのではなく、一方、数値解析による視覚化も、予備的な計算にとどまっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
効率的な熱伝導を実現する物質配置について、種々の数値計算を行なっているが、「効率的な熱伝導」を与える汎関数として、新しく第一固有値を考察することに方針を変更した。そのため、その変分問題の解の正則性定理の証明を必要とすることとなり、現在その証明に着手している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
「効率的な熱伝導」として「第一固有値」の最小化または最大化を考察することに方針を変更した。そのため、その解の正則性、または部分正則性の厳密な証明と、それらの数値解析を行う。 従来は、種々の「汎関数」に関する数値実験を通して数学的にアプローチしようとしていたが、今後は厳密な変分問題の解の存在と正則性をキーにして研究を推進する。
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