2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540091
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
神山 靖彦 琉球大学, 理学部, 教授 (10244287)
|
Keywords | ロボット運動 / 配置空間 / 多角形 / クモの巣装置 / 位相的複雑さ / モーメント角複体 / モース関数 / パーフェクト |
Research Abstract |
1.近年ロボット運動の配置空間の幾何学的性質を精密に研究するという試みが盛んに行われている。特に有名なロボットとして多角形のモジュライ空間とクモの巣装置の配置空間がある。ロボットの姿勢をどの程度連続的に変えることができるかを有効に記述する量として位相的複雑さというものがある。しかしこれを実際に計算することは非常に困難である。平成22年度は多角形のモジュライ空間の位相的複雑さを下から評価する際に鍵となる事実を発見した。 2.位相的複雑さは多様体上のモース関数と密接に関係する。そのモース関数が精密であればあるほど、位相的複雑さについてもより精密な結果が得られる。一般に与えられた多様体上のモース関数のうち、最も効率のよいセル分割を与えるものをパーフェクトなモース関数という。しかしパーフェクトなモース関数を実際に構成することは非常に困難で、知られている多様体の例は多くない。平成22年度は多角形のモジュライ空間上にパーフェクトなモース関数を構成した。その際、本科学研究費補助金で購入したコンピュータを駆使した。 3.トーリックトポロジーという分野の研究において、モーメント角複体は中心的役割を果たしている。ロボット運動の配置空間とトーリックトポロジーは一見無関係のように思われていた。しかし、クモの巣装置の配置空間がモーメント角複体と同一視できることを発見した。このことはトーリックトポロジーの研究者に非常に注目された。平成22年11月にCanadaのBanffで"Topological Methods in Toric Geometry, Symplectic Geometry and Combinatorics"という国際会議が開催された。これは主催者が研究者の業績を調査し、選ばれた人だけに招待状が送られるものであった。この会議に招待され、11月11日のAnderson氏とPuppe氏の講演の座長を務めた。 4.多角形のモジュライ空間に関するもう一つの成果として、その普遍被覆空間のホモロジーを決定した。一般に多様体のホモロジーについて十分な情報があっても、その普遍被覆空間のホモロジーが知られているのは等質空間など限られた場合である。その意味でこの成果は興味深い新たな例である。
|