2011 Fiscal Year Annual Research Report
結び目理論における不変量と局所変形を用いた幾何学的構造の研究
Project/Area Number |
22540099
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大山 淑之 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80223981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00401878)
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Keywords | 結び目 / 仮想結び目 / Vassiliev不変量 / C_n-move / C_n-distance / 局所変形 |
Research Abstract |
2つの結び目が,ある局所変形で移りあうとき,必要な局所変形の最小回数は距離の公理を満たし,結び目に距離空間の構造をいれることが出来る.この距離空間を調べることが本年度の目的の1つであった. 堀内澄子氏との共同研究として,以下の結果が得られた. 2次元の格子点を頂点とし,ユーグリッドの距離1の2点を辺で結んだ無限グラフを2次元lattice graphという.局所変形による結び目の2次元latticeとは,結び目を頂点とする2次元lattice graphで,2頂点間のグラフ上の距離とその2頂点が表す結び目の局所変形での距離が一致するものと定義する.nを2以上の自然数とする.C_2n+1-moveによる結び目の2次元latticeが存在することを示した.昨年度,C_2n-moveの場合の結果を証明しており,C_k-move(k>3)による結び目の距離空間に、2次元のlatticeが等長的に埋め込み可能であることを示したことになる. 結び目の局所変形MによるGordian複体とは,頂点集合が結び目からなり,n+1個の結び目が互いに局所変形Mによる距離が1であるとき,n-単体を張ると定義される単体的複体のことである,実交点だけでなく,仮想交点も持つ結び目正則表示を仮想結び目正則表示といい,一般Reidemeister moveによる仮想結び目正則表示の同値類を仮想結び目という.結び目のGordian複体の概念を仮想結び目へ拡張し,仮想結び目のforbidden moveによるGordian複体に対して,以下の結果を示した.nを任意に与えた自然数とする.仮想結び目のforbidden moveによるGordian複体の任意の0-単体に対して,その0-単体を部分複体としてもつn-単体が存在する.仮想結び目に対して,ある幾何構造を与え,その特徴の一つを見出したことになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的として,3つの点を挙げている.そのうちの1つについては,成果を論文としてまとめた.残り2つについても,考察が進んでいる.また,本研究を進める過程で,目的に挙げた研究だけでなく,他の課題についても成果があがっている.
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Strategy for Future Research Activity |
局所変形による結び目の幾何構造の研究を重点的に進めていく.結び目全体の集合に,単体的複体やlattice graphの構造を与える研究を行ってきた。この研究には,局所変形によるvassiliev不変量の変化量などが強く関係してくる.3つの研究目的のうち,2つが関係してくることになり,新たな展開が期待される.また,結び目の幾何構造が,仮想結び目へ拡張できることがわかってきた.本研究の発展として,仮想結び目への拡張も積極的に研究していく.
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