2012 Fiscal Year Annual Research Report
結び目理論における不変量と局所変形を用いた幾何学的構造の研究
Project/Area Number |
22540099
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大山 淑之 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80223981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00401878)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 結び目 / 仮想結び目 / 局所変形 / Vassiliev不変量 / C_n-move |
Research Abstract |
研究の目的の1つに、結び目や仮想結び目に対して、局所変形による距離を入れ、その距離空間の性質を調べることをあげていた。2つの結び目あるいは仮想結び目が局所変形で移りあう場合、移りあわせるために必要な局所変形の最小回数は距離の公理を満たし、その局所変形で移りあう結び目や仮想結び目の集合は距離空間となる。 仮想結び目に対しては、局所変形に対する研究は始まったばかりであり、局所変形自身に関する研究をおこなった。仮想結び目正則表示とは、実交点だけでなく、仮想交点をもつ結び目正則表示のことである。仮想結び目正則表示の一般ライデマイスター移動での同値類を仮想結び目とよぶ。仮想結び目は、一般の結び目を拡張した概念ということができる。仮想結び目に、odd writheと呼ばれる不変量がある。一般の結び目では、0の値しかとらない仮想結び目特有の不変量である。 吉川真由氏との共同研究で、3T-moveという局所変形を新たに定義し、以下の定理を証明した。2つの仮想結び目の正則表示が3T-moveと一般ライデマイスター移動で移りあうための必要十分条件は、その2つの仮想結び目のodd writheが一致することである。ある局所変形で、仮想結び目の正則表示が移りあうというのは、幾何的な条件である。幾何的な条件と代数的条件が同値であるという定理を得ることができたことになる。 研究の目的に、局所変形による不変量の変化量を決定することをあげている。今年度は、仮想結び目に対して、局所変形による不変量の変化量を研究することで、上の局所変形を見つけ出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的のうち、結び目や仮想結び目における局所変形と不変量の研究については、論文として、発表できる結果を得ることができた。 一般の結び目におけるC_1-moveは交差交換である。仮想結び目に対し、有限型不変量は2つの方法で定義されている。その1つの定義でオーダー1の有限型不変量として知られている多項式不変量に対して、1回の交差交換による変化量は計算できている。 このように、いくつかの結果を得ることができ、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
局所変形による結び目の幾何構造についての研究を重点的に進めていく。特に、結び目の拡張としての仮想結び目に対して、局所変形による距離空間を考え、研究を進めていく。 仮想結び目においても、有限型不変量が2つの方法で定義されているが、局所変形との関係の研究は、始まったばかりである。まず、一般的な局所変形である交差交換による仮想結び目の距離空間がどのような性質を満たすか、研究する。さらに仮想結び目の研究から、一般の結び目の幾何構造の研究を振り返る。
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