2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540100
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
國分 雅敏 東京電機大学, 工学部, 教授 (50287439)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幾何学 / 微分幾何 / 平均曲率 / ガウス曲率 / 特異点 |
Research Abstract |
本研究においては,3次元双曲型空間もしくは3次元ドゥジッター空間における平均曲率一定曲面,ガウス曲率一定曲面およびそれらを一般化した線形ワインガルテン曲面を主に研究した.扱った曲面は特異点を許容するもので,大域的研究においてはとくに,曲面と言うよりはむしろ波面もしくは波面的曲面と呼ぶのが適切なものである.曲面から波面に一般化することで,弱完備性,余向きづけ可能性といった,正則曲面にはない新たな概念が生まれ,研究すべき事柄が豊富になる. 連携研究者らとの連携により得られた成果として次が挙げられる.3次元ドゥジッター空間の空間的CMC-1曲面とリーマン面上の一般化された双曲型計量(特異点を許容する負の定曲率計量)との対応を詳細に調べ,一方の性質から導かれる他方の性質により両者の研究を同時進行的に発展させた.その応用として,ドゥジッターカテノイド(種数が0でありエンド数が2の弱完備空間的CMC-1曲面)について分類定理を得た.楕円型,双曲型,放物型と型の異なるものが存在し,ユークリッド空間のカテノイドや3次元双曲型空間のCMC-1カテノイドと比べ,いくぶん精密な議論が必要であった.また,高々2つの正則特異点をもち得るリーマン球面上の一般化された双曲型計量についても分類した.これらの研究に付随して,一般化された双曲型計量についても余向きづけ可能性の概念が存在することなどの発見もあった.以上の内容について,連携研究者らとの共著で論文を執筆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は3次元ドゥジッター空間のワインガルテン曲面についての研究にやや重点を置くことを目標のひとつとしていた.その意味から,「研究実績の概要」で述べたように,3次元ドゥジッター空間の空間的CMC-1曲面とリーマン面上の一般化された双曲計量に関する結果が得られたことは,満足のいくものであった.一方,目標のひとつであった3次元光錐の曲面論まで,研究を着手するに至らなかった.以上を総合的に勘案して(2)であると自己評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元双曲型空間の曲面と3次元ドゥジッター空間の曲面に関しては,平行に研究を進めることができることが少なくない.更に,それらの理想境界における貼り合わせ(これも幾通りか考えられるが)によりコンパクト化される空間で,曲面やそのガウス写像を取り扱うことが極めて自然であることを発見し,そのことに最近注目している.今年度の研究は,今述べた観点を中心に取り組みたい.また,ローレンツ・ミンコウスキー空間における反転が本研究に寄与をもたらすのではないかと予想している.そこで,反転自体に関する基礎研究も行いたい. 連携研究者の中には3次元ドゥジッター空間やローレンツ・ミンコウスキー空間とその曲面論について深く理解している者も多いので,彼らとの連携を更に深めていきたいと考える.
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Research Products
(1 results)