2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540108
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
井川 治 福島工業高等専門学校, 一般教科, 教授 (60249745)
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Keywords | Hermann作用 / 超極作用 / 運動量写像 / 荷電粒子の運動 |
Research Abstract |
Hermann作用は超極作用の典型例である.超極作用とはリーマン多様体への等長変換群の作用が切断と呼ばれる標準形を持つ場合,ということができる.よって超極作用は線形代数における標準形理論のリーマン幾何版と思うことができる.超極作用は変分完備な作用とほぼ同値になる.変分完備性を定義するときのキーワードは測地線とヤコビ場である. リーマン幾何における標準形理論を研究しているとケーラー幾何においても然るべき「標準形理論」が定義でき,豊かな内容を持つように思えてくる.現状ではケーラー幾何における標準形理論はどのようにあるべきか,ということはわからないが,リーマン幾何における等長変換群と測地線はケーラー幾何では正則等長変換群と荷電粒子の運動に置き換わるであろう. ところでケーラー多様体への正則等長変換群の作用がHamilton的であるとは,その作用に運動量写像が存在するときを言う.運動量写像は,いくつかの条件を満たす写像という形で定義されているので,運動量写像は存在するとは限らない.アインシュタイン-ケーラー多様体でアインシュタイン定数が0でない場合やsymplecticベクトル空間へのsymplectic線形変換群の場合には,運動量写像を明示的に表す公式が知られている.これらを踏まえて以下の研究を行った. 完備ケーラー多様体へのHamilton的正則等長作用について,その運動量写像を荷電粒子の運動を用いて明示的に表す公式を導いた.この結果は上に述べた先行研究の結果と異なるものである.またその応用として完備ケーラー多様体への正則等長変換群の作用が固定点を持つ場合にはその作用がHamilton的になるための必要十分条件と比較的簡単な十分条件を与えた. 研究成果は論文にまとめすでに受理されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で出張ができなくなり,研究計画が思い通りに進まなかった.研究目的を書いた時点ではケーラー幾何における標準形理論という発想はなかったが,研究中に思いつき,当初の研究目的とは少しずれた方向に研究が進展した,所属が福島高専から京都工芸繊維大学に変わることになり,移動の手続きや準備に時間がかかった.
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Strategy for Future Research Activity |
ケーラー幾何における標準形理論という親しい発想を得たのでケーラー幾何の意味でのヤコビ場の研究を行う.エルミート対称空間の場合にケーラー幾何の意味でのヤコビ場を詳しく調べる. 当初,予定していた非可換なHermann作用に関する軌道空間の研究も行う.
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Research Products
(2 results)