2012 Fiscal Year Annual Research Report
数学的構造化個体群動態学とその感染症数理モデルへの応用に関する研究
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22540114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲葉 寿 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (80282531)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 基本再生産数 / タイプ別再生産数 / 汎流行閾値定理 / SIS型感染症流行モデル / 年齢構造 / 感染症数理モデル / 周期的環境 |
Research Abstract |
[1] タイプ別再生産数に対する一般的な変動環境下での定義を提起して、具体的なモデルに対して計算をおこなった。タイプ別再生産数は、多状態の個体群再生産システムにおいて、特定のタイプの個体がその再生産期間のうちに生産する同種の個体数の平均数として定義され、ターゲット個体群のコントロールによって全体の個体群成長を制御する場合の測度になる。特に、垂直感染と水平感染の二つのルートをもつ感染症に関して、年齢構造化個体群モデルにおける感染症の基本再生産数と水平感染のタイプ別再生産数の計算法、任意の年齢階級における臨界ワクチン接種割合の算出、パラメータの季節変動がある場合に、流行シーズンのタイプ別再生産数の計算法、またパルスワクチン政策における異本再生産数の計算法等を示した。 [2] 個体の異質性や空間分布を考慮してKermack-McKendrickの感染年齢依存モデルを拡張した上で、その基本再生産数によって、必ずしもコンパクトではない状態空間におけるパンデミックが起きる条件が定式化されることを示した。汎流行定理は、基本再生産数の現代的な定義より以前に提唱され、両者の関係はこれまで明らかにされてこなかった。本研究によって、基本再生産数によって汎流行閾値定理が完全に特徴付けられることが示された。 [3] 年齢構造を持つホスト個体群に対するSIS型感染症流行モデルにおいて、パラメータが時間周期的である場合に、周期的なエンデミック解が存在する閾値条件を示した(國谷氏との共同研究)。特にホスト個体群が人口学的に定常状態にあるなら、基本再生産数が1より大きいという侵入条件が、同時にエンデミック周期解の一意的存在条件になるという一般的原理を、周期系構造化個体群モデルで初めて確認することができた。これは一般的原理としてより普遍的な非自律的構造化個体群における感染症流行モデルへと拡張されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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