2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方程式の高近似理論とそのファイナンスへの応用
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22540115
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二宮 祥一 東京工業大学, 大学院・イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70313377)
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Keywords | 確率論 / 数理工学 / アルゴリズム |
Research Abstract |
背景:1998年に楠岡成雄は確率微分方程式で記述される拡散過程の高次弱近似の理論を提案した。これを楠岡近似と呼ぶ。楠岡近似を具体的に可能にするアルゴリズムの構成とその応用、特に数理ファイナンスに現われる様々な問題の場合に適用可能なものの構成が本研究のテーマである。我々はこのテーマに関して最も単純な場合、すなわち拡散過程X(t,x)に対してE[X(1,x)]を求める場合については、Algorithm-1[Ninomiya,Victoir(2008)]およびAlgo而thm-2[Ninomiya,Ninomiya(2009)]という二つのアルゴリズムを得ている。近年、[Fujiwara],[Oshima,Teichmann,Veluscek]によりAlgorithm-1の一般的な外挿の理論が提案され、任意の次数のアルゴリズムがこれによって得られることがわかっている。前年度は[Ninomiya,Ninomiya(2009)]の結果を用いることにより更に高次のアルゴリズムを構成するパラメータの満す代数方程式の構成を行った。平成23年度の研究成果:(1)バリアオプションと呼ばれる経路依存性のあるデリバティブ商品の価格計算は実務に於て非常に重要であるが現在この場合に適用可能な一般的な高次弱近似手法はまだ確立されていない。上述のAlgorithm-1にバリアへの到達確率の近似式を組み合わせることでこの問題への高次弱近似が可能であるかどうかの検討を行なった。実際に数値実験を行なった結果、この問題においてはバリアへの到達確率の近似誤差が支配的な誤差となっていることがわかった。今後はこの近似を一般的に行う理論とアルゴリズムの発見が鍵となることがわかった。(2)もとの確率微分方程式を測度変換によってAlgorithm-1に表れる全ての常微分方程式が解析的に求積可能である場合に変形させるというFriz-Bayer-Loeffen(2011)のアイディアによりこれ迄数値的方法に頼って実現していたHestonモデル下に於けるAsianオプションのAlgorithm-1によるより高速な計算手法を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、目標を立てていた段階ではまだ意識されていなかった領域(準閉形式アルゴリズム)の発見等の進歩は予想外の進歩である。一方、当初の目標の外挿に頼らない高次近似アルゴリズムについては代数方程式の問題に帰着したがこれを如何に解くかがまだわかっていない状態であり、今後の課題となっている。以上をまとめて全体としてはおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ方針の正しさが見えてきた課題(バリア、準閉形式アルゴリズム)についてはこのまますすめて実務的な問題で実証する予定である。理論的に課題がでてきたもの(A長gorithm-2の高次化)についてはひきつづき理論研究をすすめる。
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Research Products
(3 results)