2011 Fiscal Year Annual Research Report
様々な偏微分方程式に対する代用電荷法の数理とその応用に関する研究
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22540116
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
緒方 秀教 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (50242037)
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Keywords | 代用電荷法 / 基本解近似解法 / 波動問題 / ヘルムホルツ方程式 / ポテンシャル問題 / ラプラス方程式 / 最適性 / 双極子 |
Research Abstract |
本研究では,偏微分方程式の数値解法である代用電荷法(基本解近似解法)について,その数理的性質を理論/実験両面から調べることを目的とする.本年度の研究結果は次のとおりである. (1)2次元波動問題に対する基本解数値解法の最適性 2次元波動問題(ヘルムホルツ方程式の境界値問題)に対する代用電荷法について,特に円板外部領域ノイマン境界値問題について改良した理論誤葦評価を得た.さらに,代用電荷法の近似解を波動問題の解に対する補間とみなすと理論的にほぼ最適な補間公式であることを示した.この結果は,2次元円板領域ポテンシャル問題に対する代用電荷法の近似解が同領域の調和関数の補間公式としてほぼ最適であるという先行研究結果の拡張であり,代用電荷法が様々な偏微分方程式の近似解法として精度が良いことを理論的に示唆するものである. (2)2次元ポテンシャル問題に対する双極子を用いた代用電荷法 2次元ポテンシャル問題(ラプラス方程式の境界値問題)に対し,電気双極子を用いた代用電荷法を提案した.この方法では,従来のように点電荷ポテンシャルを使う代わりに,電気双極子ポテンシャルの重ね合わせで解を近似する.具体的には,ある領域におけるラプラス方程式境界値問題に対し,問題領域外部に極を持つ電気双極子を複数個用意しそれらの一次結合で近似解を表す,そして,境界条件に対し選点法で電気双極子の強さを定め,境界条件を近似的に満たすようにするのである.さらに,この方法を数値等角写像にも応用した.これはポテンシャル問題に対する新しいタイプの代用電荷法の数値解法を提示するものであり,従来の方法に比べてより性質の良い近似解を与える可能性が期待される. 以上の研究結果は現在論文投稿の準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記した当初の研究計画には,(1)2次元波動問題に対する代用電荷法の研究,(2)弾性問題・流体問題など様々な偏微分方程式に対する代用電荷法の研究の2項目を挙げていた.そのうち,項目(1)に関しては概ね研究が進んでおり,代用電荷法の準最適性の証明という当初は予想しなかった研究成果も得られた.一方で,、項目(2)については研究がほとんど進んでいない,これは,当年度研究途中で双極子を用いた代用電荷法という予定外の研究がはじまったことから,研究に費やす時間と労力が確保できなかったことが理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で双極子を用いた代用電荷法という方法を考案し,新しいタイプの代用電荷法として数理的性質をいろいろ調査する必要がある.当初の研究計画にはなかった研究であるが,大いに興味がもたれる問題であり,次年度の研究課題のひとつとしたい,一方,ポテンシャル問題・波動問題以外の問題(弾性問題・ストークス流問題)に対する代用電荷法については,当初の予定より研究がはかどっておらず次年度の研究で挽回せねばならない,これについて,とくに理論面の研究を進めなければならないが,代用電荷法は理論的研究があまり進んでいないので,関連する解法について先行研究を精査し,少しでも現状を打開することにする,さらに,次年度は代用電荷法ソフトウェアの開発という応用面の研究にも着手する.
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Research Products
(7 results)