Research Abstract |
Rank dの自由群F<1,2,..,d>上の自己同型変換θの随伴行列L_θの固有値が,hyperbolic条件|λ_1|≧|λ_2|>1>|λ_3|≧…≧|λ_d|を満たすとき,自己同型変換θを用いて,L_θ-不変2次元拡大空間の上に,有界な領域で,fractalな境界をもつ集合X (Rauzy fractal領域と呼ばれる)を構成する理論の上で,境界∂Xを,fractal curveとして記述する方法の確立を目指しているが,今年度は,4-interval exchange変換上のRauzy inductionから生成されるsubstitution上で,研究を行った.具体的には,A->ABD,B->ABBD,C->ABDCCD,D->ABDCDというsubstitutionを取り扱った.このsubstitutionから定まる行列の固有値はnon-Pisot型であり,その行列の固有多項式は既約,かつ固有値はすべて実数(総実)という性質をもっている.過去には,総実でない4次non-Pisot型のautomorphismの場合について,quasi-periodicなタイリングを生成することに成功しているが,今回,「4次,non-Pisot,既約,総実」なとutomorphism上でも,quasi-periodicなタイリングを生成することに成功した.「総実でない」世界から「総実」の世界へ拡張できた卓で価値のある結果といえる.この結果は,京都大学数理解析研究所講究録「準周期秩序の数理」に,報告としてまとめた.(共著者:P.Arnoux氏(Luminy大),伊藤俊次氏(金沢大))
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