2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 正俊 大阪大学, 名誉教授 (90015503)
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Keywords | 3次元反射壁ブラウン運動 / 対称拡散拡張 / 多重連結領域 / 2次元縢りブラウン運動 / 小松-Loewner微分方程式 / 等角写像 / 1次元拡散過程 / 一般境界条件 |
Research Abstract |
平成23年度に実施した研究の成果は以下の通りである。 1.ワシントン大学のZ.Q.Chen教授との共著本Symmetric Markov Processes, Time Changes, and Boundary Theoryが平成24年1月にPrinceton University Pressから出版された。その最終章に「3次元以上のユークリッド空間で2個の無限錘からなる閉領域上の反射壁ブラウン運動の時間変更過程の無限遠到達後の4種類の対称拡散拡張を決定する」という本研究の平成22年以降の成果が整備・拡張されて掲載された。 2.平面の多重連結領域(有限個の穴の空いた領域)上の複素解析への縢りブラウン運動(Brownian Motion with Darning (BMD),各穴を1点とみなして反射させて得られるブラウン運動)の応用を開始した。即ち任意のBMD-調和関数の穴の廻りの周期が零であることを上述の共著本の一般論を用いて証明し、それによって標準截線領域上のJordan弧の導く等角写像族の満たす小松-Loewner微分方程式の右辺に現れる核がBMDの複素Poisson核であることを証明した。この微分方程式は従来適当な左連続なパラメター関数についての左微分の意味でしか確定していなかったが、更に等角写像族をBMDを用いて確率論的に表現することに成功し、それによってパラメター関数の連続性を示した。 3.伊藤-McKeanの著書で求められていた一般境界条件を満たす1次元拡散過程は自明なものを除けば全て標準測度とその境界への拡張に関して対称であり、従ってディリクレ形式を用いて直接的に構成されることを証明した。先ず極小拡散過程が標準測度に関して対称であることとそのディリクレ形式の同定の簡潔な証明を与え、それによって極小拡散過程とその対称拡散拡張を再生核を通して伊藤-McKeanの境界条件と関係付けることが方法の特徴である。この研究は1に述べた共著本の一般論による伊藤-McKean理論を再構成を図るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」の2項で述べた2次元縢りブラウン運動の1変数複素関数論への応用の研究が当初の実施計画を超えて進展した(9.研究実績の概要の2項参照)。更に、研究実績の概要の3項で述べているように、1次元拡散過程の伊藤-McKean理論を、Z.Q.Chen教授との共著本の一般論に基づいて再構成する研究が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べている1,2,3項はいずれも「境界点が有限個の場合の対称マルコフ過程の対称拡張」という研究代表者が前回の基盤研究以来目指している大きな目標の具体的な課題として重要である。本研究は特に1を課題としたが、それに関して2個の無限錘からなる領域についての研究は完成したが、2、3の課題の研究の方が先に進んだので、2の研究に一定の目処がついた後に、3個以上の無限錘の場合に関する1の研究を図りたい。
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Research Products
(4 results)