2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 一般 |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 洋 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50192125)
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Keywords | 確率論 / 数論 / 極限定理 / 極限周期的算術関数 / 有限整アデール環 / ランダム・ワイル・サンプリング |
Research Abstract |
本研究は,確率論の新たな源泉を,応用分野でなく,数論という純粋数学の中に求めるところに特長がある,具体的には(1)数論的関数のランダム化,(2)一様分布列のランダム化,(3)数論的極限定理を有限整アデール環上の確率論的極限定理として捉えること,などである. 以下,今年度中に出版あるいは掲載確定となった二つの研究成果について概要を述べる. 1.一様分布列は単位区間上の定積分の近似計算に用いられるが,変動の大きい関数の積分には不向きであった.我々は無理数回転の軌道として得られる一様分布列であるワイル列を,その無理数パラメータを一様分布確率変数で置き換えてランダム化し,単位区間上の定積分の数値計算に用いると,変動の大きい関数の積分値のよい近似値を高い確率で得られることを見出した(ランダム・ワイル・サンプリング).ランダム化する際の乱数は少量で済むので,通常のモンテカルロ法に比べて格段の信頼性と精度が得られる.この結果はMonte Carlo method, Random Number, and Pseudorandom generator, MSJ Memoirs 25(日本数学会)として出版された著書に掲載した. 2.T.K.Duy氏(本研究代表者の研究室の大学院生)および高信敏氏(金沢大学)との共同研究で次の結果を得た;どの素数のk乗でも割り切れない整数をk-th power freeという.1からNまでの整数のうちk-th power freeであるものの割合はN→∞のとき1/ζ(k)に収束する.ここでζはリーマンのゼータ関数である.この収束の速さは昨年度のDuy氏の研究でそのオーダーが決定されたが,今回,オーダーに掛かる係数まで完全に解明した.手法は昨年度の研究と同様,有限整アデール環を用いるものである.この結果は,On the distribution of K-th power free integers, II (Duy-Takanobu)としてOsaka Jour.Math.に掲載が決まった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果が一冊の著書と数編の論文に掲載されることになり,順調な進展ということができる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,(1)数論的関数のランダム化,(2)一様分布列のランダム化,(3)数論的極限定理を有限整アデール環上の確率論的極限定理として捉えること,を中心に研究を進める.今後,さらに(4)一般化されたディリクレ級数の値分布の確率論的解析についても研究を始める予定である.
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Research Products
(7 results)