2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540134
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
紙屋 英彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (50300687)
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Keywords | 統計数学 |
Research Abstract |
多次元展開モデルにおいて,複数の対象を固定して個人を動かしたときに得られるランキング全体の集合を,与えられた対象たちの組のランキング・パターンと呼ぶ.対象たちの組自体を動かせば,様々なランキング・パターンが得られるが,それによりどれくらい多様なランキング・パターンが生成可能か,というのがランキング・パターンの問題である.単に対象のラベルの付け替えにより互いに得られるランキング・パターンたちは,本質的には同じものと考えられるので,この意味で本質的に異なるランキング・パターンに関心がある.昨年度は,多次元展開モデルにおいて本質的に異なるランキング・パターンの問題を解決した.その際にはこの問題を,コクセター群の作用の下で不変な超平面配置の問題として,より一般的に考察していた,今年度は昨年度に展開した一般論を,ランキング以外の選好モデルに応用することを試みた. 具体的には,昨年度の一般論をカタラン配置に適用することで,semiorder(あるいはunit interval order)と呼ばれる選好順序のモデルを考察した.semiorderは非推移的な無差別関係を説明するためにLuceにより導入されたモデルである. またカタラン配置の場合には,カタラン配置から組みひも配置を除いた部分配置を考えると,対称群の元で固定される部分配置の部屋数の和としてカタラン配置の部屋数を表すことができることが知られている.ここではこの関係が,我々の一般的な枠組みでも成り立つことを確かめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に展開した超平面配置とコクセター群の一般論を,今年度は統計学あるいは数理心理学における具体的な選好モデルに応用することができたため,一般論だけでなく応用面での成果まで得られているため.
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Strategy for Future Research Activity |
超平面配置の一般論の統計モデル(展開モデルやsemiorder以外)への応用を進めるとともに,統計学への応用にとっても有用な超平面配置の一般論(有限体法など)の展開を行う.
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