2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540135
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 徹 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (20260664)
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Keywords | 応用数学 / 関数方程式 / 感染症 / 疫学 |
Research Abstract |
リアプノフ関数を利用した関数方程式系の定性理論において,前年度の共同研究の成果を踏まえ,さらに研究を進めることができた.ここでは,時間遅れのある微分方程式に対するリアプノフ関数の構成法に関して,ある程度整理された方法を得る事ができた.それは,時間遅れのある微分方程式に対するリアプノフ関数を,対応する常微分方程式に対するリアプノフ関数を利用して構成するというもので,この方法がうまく機能する場合には,複雑な計算は常微分方程式に対するリアプノフ関数に関する計算部分に集約され,遅れに関係する部分の計算は比較的簡単になる.本研究では,感染症ダイナミクスを記述するいくつかの具体的な数理モデルに対して,この方法が適用出来る事を確認し,その方法といくつかの例(体内レベルの感染症ダイナミクスモデルの例および集団レベルの感染症ダイナミクスモデルの例)をまとめて論文にすることが出来た(Nonlinear Analysis: Real World Applications,2012).この研究結果は,今後現われるであろう様々な数理モデルに対しても適用する事が出来る可能性が高いと期待している.また,時間遅れによって平衡点が不安定化する場合には,必然的にこの方法は適用できないわけであるが,その場合においても本方法が適用できないからくりを考察することにより,平衡点の不安定化に関する何らかの新しい視点が得られるかもしれない.以上に述べたように,様々な数理モデルに対して適用できる可能性を持つ事,そして今後の研究の発展の足がかりになる可能性を秘めている事などに意義を持っていると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ある程度まとまった結果を得,それを論文の形で雑誌に掲載することが出来たから.
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Strategy for Future Research Activity |
リアプノフ関数を中心とした関数方程式の定性理論に関する研究は,今後も引き続き行い,更なる発展をめざす.今後は,拡散効果を考慮したモデルに関する研究にも取り組んでいく予定である.
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Research Products
(4 results)