• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Annual Research Report

感染症ダイナミクスに関する数理モデルの解析

Research Project

Project/Area Number 22540135
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

佐々木 徹  岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20260664)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2015-03-31
Keywords応用数学 / 関数方程式 / 感染症 / 疫学
Research Abstract

基本的な常微分方程式系に対するリアプノフ関数を用いて,その常微分方程式系に新たな未知変数や新たな項を追加して得られる常微分方程式系のリアプノフ関数を構成する方法を考察し,それを体内の感染症ダイナミクスを記述するいくつかのモデルに応用した.具体的には,ターゲット細胞,感染細胞,ウイルスの三者の相互作用を記述する常微分方程式系 (感染項は質量作用型ではなく,より一般な形.ただし,適当な条件を課す.また,いわゆる病原体の吸収効果は無視している) に対するリアプノフ関数を用いて,この常微分方程式系に新たな変数として細胞性免疫の強さを追加して得られる常微分方程式系のリアプノフ関数を構成した.また,ターゲット細胞,感染細胞,ウイルスの三者の相互作用を記述する常微分方程式系 (感染項は質量作用型ではなく,より一般な形.ただし,適当な条件を課す) で,病原体の吸収効果を無視したものに対するリアプノフ関数を用いて,病原体の吸収効果を取り入れた常微分方程式系に対するリアプノフ関数を構成した.
また,齢構造を含む微分方程式系や無限の遅れを持つ微分方程式系に上記の方法を応用する研究の準備として,これらの方程式系を扱う上で基礎となる事項についての調査を行なった.
また,空間構造を考慮した感染症伝播モデルの研究では,個体ベースモデルの基本的なプログラムを作成した.これは,各個体が 2次元トーラス格子上をランダムウオークし,感受性者が感染者と接触することにより感染するというもので,SIS感染症モデルと SIR感染症モデルの両方に対してプログラムを作成した.この基本プログラムは,今後本格的なシミュレーションを行なうための準備である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

リアプノフ関数が知られている基本的な常微分方程式系に対して,これに未知変数を追加して得られる常微分方程式系や,新たな項を追加して得られる常微分方程式系のリアプノフ関数を構成する方法に関する研究は,「研究業績の概要」で述べたように新たな適用例に関する結果を得ており,順調に進展していると考える.
また,齢構造を持つ方程式系や無限の遅れを持つ方程式系を扱う上で必要な基本的な事項に関する準備もある程度進んでおり,このような方程式系に上記の方法を応用することが検討出来る状況になりつつある.
空間構造を考慮した感染症伝播数理モデルの研究は,基本的な計算機プログラムが完成し,次年度の本格的な研究に着手する準備は整ったと考える.

Strategy for Future Research Activity

体内の感染症ダイナミクスを記述する常微分方程式系や関数方程式系のリアプノフ関数,リアプノフ汎関数は,Korobeinikovの研究やMcCluskeyの研究を発端として,近年多数の研究がなされている.一方,Korobeinikovや McCluskeyの仕事以前は,様々な生態学モデルに対して,遅れのある常微分方程式系に対するリアプノフ汎関数の研究がさかんになされていた.
KorobeinikovやMcCluskey以降の手法の観点から過去の生態系モデルの仕事を再考する事により,新しい視点を見出す事が出来るのではないかと期待している.リアプノフ関数が知られている常微分方程式系に対して,この常微分方程式系に遅れの効果を取り入れた関数方程式系のリアプノフ汎関数を構成する方法の研究に関しては,引き続き研究を進めながら,上記の観点による考察も行ないたい.
基本的な常微分方程式系に対するリアプノフ関数を用いて,その常微分方程式系に新たな未知変数や新たな項を追加して得られる常微分方程式系のリアプノフ関数を構成する方法に関しても,生態学モデルも視野に入れながら進めてみたい.
また,上記の方法を,齢構造を持つ方程式系や無限の遅れを持つ方程式系に対して応用する準備も整いつつあるので,このような応用も押し進めたい.
また,空間構造を考慮した感染症伝播数理モデルの研究においては,完成した基本的プログラムを基に,偏微分方程式系との比較を行なうと共に,各個体の活動範囲が限られている場合の感染伝播をシミュレートするプログラムを作成し,解析を行ないたいと考えている.

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 遅れのあるマルチグループ SEIR モデルの大域安定性2013

    • Author(s)
      佐々木徹,梶原毅
    • Organizer
      第 10 回生物数学の理論とその応用
    • Place of Presentation
      京都大学数理解析研究所
    • Year and Date
      20131122-20131122
  • [Presentation] 遅れのある複数グループ感染症モデルの大域安定性2013

    • Author(s)
      佐々木徹,梶原毅
    • Organizer
      日本数理生物学会年会
    • Place of Presentation
      静岡大学
    • Year and Date
      20130913-20130913
  • [Presentation] 遅れのあるグループ構造 SEIR 感染症モデルの Lyapunov 汎関数2013

    • Author(s)
      佐々木徹,梶原毅
    • Organizer
      数理医学セミナー
    • Place of Presentation
      大阪大学
    • Year and Date
      20130501-20130501

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi