2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540136
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大西 勇 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30262372)
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Keywords | 進行波解 / 反応拡散系 / 変分構造 |
Research Abstract |
散逸系においては、相対的な意味において、無秩序状態を含む他の大多数の状態より非常に安定的な低エネルギー状態で、かつ、ほぼエネルギー的に等価ではあるが、微妙に違っているというような秩序状態が複数(無限個であり得る)存在していることがある。このような場合、無秩序状態に多少のホワイトノイズを加えた初期値から時間発展させた解は、空間局所的にはそのどれかの秩序状態のひとつに、急速に引き込まれた後、空間局所的にランダムに生成された秩序状態間に創られる"ディフェクト(欠陥)"部分(合金相転移問題などで見られるいわゆるグレインバウンダリーのようなもの)がせめぎ合いつつ、微妙ではあるが、よりエネルギーの低いほうに向かって時間発展し、かつ、そのようなディフェクト部分を解消するように運動していく現象が、往々にして、見られる。私は、このディフェクトの解消運動を、ある種の進行波解と見做して、その存在や一意性、さらにはよりアドバンストな数理的性質を数学的に研究したいと考え、本研究に取り組んでいる。 単純な場合における結果は得られたが、一般論はむつかしいことがわかってきた。一方で、非線形シュレーディンガーのような反応拡散系とは異なる問題について、類似の現象が知られてきたので、そちらへも視野を広げつつあり、そのためのひとつの試金石となるような結果を、「Miyaji, Ohnishi, Tsutsumi 2011」で、報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もともと数学的な理論としてはかなりむつかしい問題であるとの認識があり、その上で考えると、順調に結果もでており、この調子で頑張りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
変更なく進められる。 変分構造の存在は大きく、シミュレーションで得られた結果の一部を適正化出来ている。
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