2010 Fiscal Year Annual Research Report
密度依存型の拡散項をもつ2種競争系の解構造に関する研究
Project/Area Number |
22540138
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
観音 幸雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00177776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 重則 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10253296)
門脇 光輝 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70300548)
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Keywords | 2種競争系 / 解構造 / 数値的検証 |
Research Abstract |
本研究の目的は,競争関係にある2種の個体群密度の動態を記述する反応拡散方程式系(2種競争系)に対して,生物の住処をある球の内部とし,求める解を球対称な正値解に制限した最も単純な場合について,数学的な手法と数値解析的な手法を相互補完的に用いて,住処の次元や拡散係数をパラメータとしたときの正値定常解の大域的な解構造を調べることである. これまでの一連の研究から,定数定常解の周りでの線形化作用素の固有関数を記述するベッセル関数の性質を調べることにより,あるパラメータ領域において,定数定常解の周りでの局所的な解構造が決定できている.そこで,本年度は,もう一方の極限系である拡散係数が極めて零に近い場合における正値定常解の解構造に焦点を当てた.変数変換により,そのような定常解は球の半径を無限大とした全域解で近似できるため,球対称な正値全域解の性質を主に調べることとした. 比較定理を用いた議論により,非振動的で球対称な正値全域解は,常微分方程式の意味で安定な平衡解に漸近しなければならないことが分かった.また,あるパラメータで球対称な非定数正値全域解が存在したとき,その解の近傍で球対称な正値全域解が存在する条件を得ることができた. 来年度の課題として,上記条件の検証,および,振動的で球対称な正値全域解がもつ性質について調べたい.前者は極限系における大域的な解構造を決定する上で重要であり,後者は2種競争系の解構造を理解する上で重要である.
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