2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22540140
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中野 史彦 学習院大学, 理学部, 教授 (10291246)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ランダムポテンシャル / 点過程 / 確率微分方程式 |
Research Abstract |
平成22~23年度は遠方で減衰するランダムポテンシャルを考えたが、今年度は遠方では減衰しないが、減衰しないランダム項に系のサイズの負ベキ乗に比例する係数をかけて得られるポテンシャルを持つ1次元シュレーディンガー作用素を考える。このベキαを変えることにより、局在・非局在の間を転移するさまを観察するのがこの作用素を考える動機である。この作用素について、適当にスケーリングした固有値からなる点過程を考え、その体積無限大の極限を調べた。得られた結果は (1)αが2分の1よりも小さいとき(減衰オーダーが遅いとき)点過程はdeterministic なクロック過程に収束する。 (2)αが2分の1に等しいとき、点過程の極限の確率微分方程式による表現を求めた。これは Krichevski-Valko-Virag が離散シュレーディンガー作用素で求めたものと類似のものになる。彼等の結果を援用することにより、この極限点過程の間隔分布はβアンサンブルの極限とはかなり違うものであることがわかった。またintensity measure の評価を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来は24年度は減衰のオーダーが2分の1よりも遅い場合の点過程の極限を調べる予定であったが、その前に平成22~23年度での研究で用いた手法が応用できる興味深い問題を見つけたので、方針を変更して上記「研究実績の概要」にて述べた研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の2つの課題を考える。 (1)減衰オーダーが2分の1であるときに、点過程の極限がcircular beta ensemble の極限と一致することがわかっているが、極限の別の表現を求めることにより、この極限がGaussian beta ensemble の極限との一致することを示したい。このことにより、circular beta ensemble の極限とGaussian beta ensemble の極限とが一致することもわかる。 (2)減衰オーダーが2分の1であるときは、対応するシュレーディンガー作用素のスペクトルは点スペクトルになり、一般化固有関数は2乗可積分になる。このことが点過程の極限の性質にどのように反映されるかを調べる。
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Research Products
(13 results)