2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
百武 弘登 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (70181120)
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Keywords | 統計数学 / 多変量統計解析 / 繰返し測定データ / 多重比較 / 信頼区間 |
Research Abstract |
一変量の正規分布の平均と多変量正規分布の平均ベクトルの各成分との差があるかを調べるための尤度比検定を導出し、検定統計量の分布が漸近的にベータ分布で近似できることを示した。ただし、多変量正規分布においては一様共分散構造を仮定している。さらに、近似の良さを検証するためシミュレーションをおこない、標本数がそれほど大きくなくても適用できることがわかった。また、シェッフェ流の同時信頼区間を構成するために2次形式の統計量も提案し、その分布に対する漸近展開を与えた。実際の場面で適用できるように、ダネットによるコントロールとの多重比較を用いる手法も提案し、そこで必要となる定数を多変量t分布により近似し、シミュレーションにより近似精度の良さを検証し、標本数または多変量正規分布の次元が大きい場合については良好な結果を得た。これらの成果は、矯正歯科学の分野において矯正が必要な患者の処置前と後の2次元の繰返し測定データと矯正の必要がない患者の1次元のデータにおける前者と後者の比較に用いることができ、応用の点からも有用である。別の成果としては、薬物動態のような繰返し測定データに対する非線形混合効果モデルにおいてパラメータの関数に対する信頼区間を近似的に与えた。たとえば、投薬後に薬の効果が最も出てくる時点をモデルの最大値とすると、それはモデルのパラメータの関数として表される。さらに、2種の薬の比較にも適用できるように、二標本問題におけるパラメータの関数の差の近似信頼区間も与えた。これらの近似精度もシミュレーションにより検証した。
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