| Research Abstract |
研究代表者が2007年に発表したエネルギー安定有限要素スキームを高レイノルズ数の二流体問題に適用するために,特性曲線有限要素近似を物質微分項に用いる新しいガレルキン特性曲線有限要素スキームを作成した.特性曲線近似法は流体粒子の軌跡の近似に基づく数値解法であり,高レイノルズ数流れ問題でも細かい分割を必要としない特長を持っている.さらに,対称行列の範囲で問題を解くことができるので,二流体問題計算の主要部分を占める大規模連立一次方程式の解法に要する時間を短縮することができた.この新しい計算スキームのエネルギー安定性を理論と数値計算の両面から解析した.理論解析では,従来のエネルギー安定有限要素スキームで開発した方法を特性曲線有限要素法に拡張して,特性曲線法で新たに現れる項の評価を行った.その結果,エネルギーの意味で安定性が,界面上で近似曲率の自乗積分量で評価できることを示した.エネルギー安定有限要素法を用いて,砂時計形状領域で密度の異なる二流体の挙動を詳細に数値シミュレーションした.容器境界で滑り境界条件と粘着境界条件の違いによる挙動への影響,エネルギーの時間推移,落下流体の重心の時間推移を観測解析した.関連する研究成果としては,質量保存性を維持した特性曲線有限要素スキームを開発し,移流拡散方程式に対して収束性を証明した.さらに,集中質量近似を用いるガレルキン特性有限要素スキームを作成した.このスキームでは,従来特性曲線法で必要とされてきた数値積分を用いることなく計算を実行することが可能であり,移流拡散方程式に対して収束性を証明した.
これらの研究成果を,ロシア・サンクトペテルブルグでの第6回計算流体力学国際会議,ドイツ・ミュンヘンでの第16回流れ問題有限要素法に関する国際会議等で,また,東京での応用数理学会年会,横浜での数値流体力学シンポジウムなどの国内学会で発表した.
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