2012 Fiscal Year Annual Research Report
動的計画法におけるベルマン方程式の包括的研究と数理経済学への応用
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22540144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩本 誠一 九州大学, 経済学研究科(研究院), 名誉教授 (90037284)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ベルマン方程式 / 動的計画法 / パラメトリック計画 / 分数計画 / 動的双対 / フィボナナッチ双対 / 黄金双対 / 黄金最適 |
Research Abstract |
全4年間の第3年度である今平成24年度は『パラメトリック分数計画』に集中・特化して研究した。このテーマの存在は本研究課題「動的計画法におけるベルマン方程式の包括的研究と数理経済学への応用」を申請する段階ではでは予想していなかったことである。しかし、第2年度後半で本課題の研究を推進する過程で新たに浮上してきた。具体的には、経済成長などの経済動学システムの最適化問題を解析する過程で、最適解を構成する最適値関数と最適政策の間に極めて特徴的な性質が判明したからである。それは、両者の間の《ゼロ和》、《単位和》、《定和》などである。これは最適解がダイナミックスや評価系を表現するパラメータに依存しないことを表わし、システムの線形性と評価の2次性のみで定まる極めて重要な普遍的性質である。この性質は同時にその経済動学的含意(economic-dynamic implication)の問題をも提示している。さらには、このような数理経済学上の問題のみならず、一般の動的最適化問題についてもこれらの性質があることがわかってきた。そこでは『パラメトリック分数計画』の「分数」評価の中身を細分して(1)2次/2次、(2)2次/指数、(3)対数/2次、などを個別に詳細に検討した。その結果特に(1)2次/2次 の場合に相当する『パラメトリック2次分数計画』が基本的であることが分かった。これまで、数理計画としては『2次計画』をはじめとして、『パラメトリック計画』、『分数計画』などが、研究され、応用されてきたが、本研究の副産物として、『パラメトリック2次分数計画』をはじめとして『パラメトリック分数計画』が動的最適化の枠内で研究されるようになるかもしれない。今年度の研究はこの道への第一歩を記したことになる。これらの成果は、日本数学会・統計数学分科会、日本OR学会・研究部会、動的計画法研究会などで報告してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の「研究実績の概要」で述べたように、本研究から新たに派生した『パラメトリック2次分数計画』をはじめとして『パラメトリック分数計画』が動的最適化の研究対象になるかもしれない。今年度の本研究はこの道への第一歩を記したことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
総括として本研究の成果を著作『動的最適化---ベルマン方程式---』にまとめようとしている。ここでは、「ベルマン方程式」を縦糸にし、「動的双対」を横糸にして、種々の動的最適化問題の解析解を閉じた型で与えることにする。ベルマン方程式の主方程式と双対方程式を提示して、両方程式の解の間の動的双対関係を観て行こうとしている。
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