2011 Fiscal Year Annual Research Report
セミマルチンゲールによってドライブされる市場におけるインサイダー問題
Project/Area Number |
22540145
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 眞 琉球大学, 理学部, 教授 (00015900)
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Keywords | セミマルチンゲール / インサイダー / filtrationの拡大 / 最適期待効用 / 相対エントロピー |
Research Abstract |
レヴィ過程より、より一般のセミマルチンゲールでドライブされる市場に於けるインサイダーのfiltrationに於けるマルチンゲール分解はある程度得られていた。期待効用の計算に応用するにはさらに広いfiltrationに於けるマルチンゲール分解が必要であるが、期待効用の計算に応用できるような充分具体的な形での分解を得た. これをインサイダーのfiltrationに射影することによって最適な期待対数効用や、期待べき効用などが有限になるための条件を求めることができた。 この分解を応用することによりブラウン運動の部分の無い場合の比較的単純なモデルにおいてインサイダーの最適期待対数効用を数値計算により求め、それが有限であることは理論的にはわかっていたが、数値計算上も有限であることが確認でき、ノンインサイダーの最適期待対数効用より格段に大きい事がわかった。同じような設定でブラウン運動の部分がある場合には最適期待効用は無限大になることがわかっている。 さらに、この分解を用いて最適期待対数効用が最小相対エントロピーと一致することが,あるクラスのレヴィ過程についてほぼ証明できた。ただし、他の効用関数(指数、巾など)とはどのような相対エントロピーと関係付けられるかについては時間の関係でまだ計算があまり進んでいない. これらの結果の一部は下記の論文「Insider models with finite utility in markets with jumps」に纏めた。また、関連して、レヴィ過程を含むクラスの確率過程が弱収束するための十分条件に関する成果も得ている。これは下記の2番目の論文として纏められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究の目的」に記載し、予定した研究のうちの大部分は達成できたが、すべてを得たわけではない。これは管理、運営の業務量が多く、研究に向ける時間がとりにくくなったことが主な理由である。しかし、「研究の目的」には記載していないが関連する成果も得られており、かなり満足できるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
立命館大学のKohatsu-Higa教授や小川重義教授などと連絡を取り合いながら、また、各地の関連する研究を行っている研究者たちとディスカッションをしながら研究を推進していく。また、成果発表の研究会を開催する予定である。
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Research Products
(3 results)